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トピックスitiran

飲酒運転事故 昨年上回るペース(2020/10/04)


「人手不足で厳しく指導できない」の声


フェリー乗り場で飲酒30日間停止の会社も


 今年に入り、事業用トラックの飲酒運転事故が相次いでいる。 昨年1年間では28件だったが、今年は8月21日時点で既に20件が発生しており、昨年を上回るペースで推移している。

 どのような事故が起こっているのか
 5月は全国で6件の飲酒運転事故が発生した。中でも、5月10日から12日の3日間連続で飲酒運転事故があった。


トラックの酒気帯び衝突事故
5月10日(日)午後3時頃、大阪府の高速道路で、香川県に営業所を置くトラックが運行中、左側フェンスに衝突。この事故により、荷物は散乱した。トラック運転手の呼気からアルコールが検出された。

大型トラックの酒気帯び衝突事故
5月11日(月)午後3時30分頃、静岡県の国道で、福島県に営業所を置く大型トラックが運行中、前を走行していた車両に衝突。
トラック運転手の呼気からアルコールが検出されたため、運転手は道路交通法違反(酒気帯び運転)の疑いで逮捕された。

トラックの酒気帯び衝突事故
5月12日(火)午前7時55分頃、群馬県の高速道路のパーキングエリア内で、新潟県に営業所を置くトラックが運行中、駐車中の別のトラックに衝突。
トラック運転手の呼気からアルコールが検出されたため、運転手は道路交通法違反(酒気帯び運転)の疑いで逮捕された。
 6月以降も負傷者・死亡者が出る飲酒運転事故が相次いでいる。

フェリーターミナル内で飲酒運転 
道路交通法が及ばないフェリーターミナル内での飲酒運転も横行しているとの指摘もある。
8月19日、九州運輸局は福岡県古賀市の運送会社について「貨物自動車運送事業法」に基づき30日間の事業停止処分を行った。
トラック運転手が、道交法の適用外であるフェリーターミナル内で飲酒運転していることを地元テレビ局が3月に報道し、その報道を受け、4月に九州運輸局が監査に入ったところ、福岡県古賀市の運送会社が適正な点呼を怠るなど、あわせて6つの項目で「貨物自動車運送事業法」に違反していることを確認した。


 飲酒運転事故が増えている背景は何なのか。
A社の社長は次のように話す。
「貨物運送事業者に対しては、点呼の実施が義務付けられている。点呼は義務であり、行って当然。適切な点呼をしていれば、飲酒運転事故は起きない。点呼を怠っているから、飲酒運転や飲酒運転事故がなくならない。
点呼時にアルコールが検出されたにも関わらず、『このくらいなら大丈夫だから行ってこい』、『水をたくさん飲めば走れる』など、会社が飲酒運転を許しているケースもあると聞く。
 つまり、行政は改ざんされた点呼簿を認めている。行政が点呼の未実施や点呼簿の改ざんを許している実態がある」
 B社の社長は「根本的な原因は、人手不足ではないか。ドライバーが足りないため、指導やルールを厳しくしすぎたり、監視カメラを設置したりすると、ドライバーは嫌になって辞めてしまう。飲酒運転について厳しく対策をしたくしても、人が足りないばかりに厳しくできないのが現状ではないか」と話している。

 
【写真)飲酒なしの事故と比べて飲酒は死亡事故が8.4倍に膨れ上がる