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「高い」「時間かかる」「直らない」 相次ぐディーラーへの苦情(2021/05/03)


背景には整備士不足


「高い」「時間かかる」「直らない」。車両台数20台を保有するある運送会社の社長は最近のディーラーの整備に不満を漏らす。同社の修理代はうなぎのぼりで、昨年、修繕費が200万円上昇し、利益を圧迫しつつある。トラックの整備は安全な輸送を行うために欠かせないが、保有台数によっては修理や車検にかかる費用が大きな負担になっている。一部の運送会社では自社で整備工場(整備部門)を持つ動きが出てきている。
同運送会社の社長は、「昔よりトラックの構造が複雑になり、整備費用が膨らんでいる。故障ではないが、マフラーにたまったホコリが原因で赤ランプが点灯した場合、1万5千円ほど整備費用がかかる。このような費用が重なるのは痛い。ディーラーには、何が原因でどのような修理をしたのかなど細かい説明をしてほしい」と話している。
 整備費用の上昇以外にも修理・整備までに時間がかかるといった声も聞かれる。ある運送会社は、「どのディーラーも、以前はトラックを持って行って、2時間くらいで見てくれていたが、今は予約制で1~2週間待ちのケースが多い。小さな運送会社だと仕事があっても代車がなく、その間は運休しなければならない」と訴える。
 ディーラーのメンテナンスサービスに苦情が出る背景には、整備士不足が影響しているようだ。
 日本自動車整備振興会連合会が発表している自動車特定整備業実態調査によると、全国の整備士の数(資格を持って働いている人数)は、令和2年度で33万9593人。5年前の平成27年度の33万9999人から約500人減少し、10年前の平成22年度の34万2892人からは約3000人減少している。
 整備業界に詳しい関係者によると、「大型はなおさら若い人が来ない。大型トラックのタイヤは1本外すだけでも重労働。整備士になっても『大型はちょっと・・』という人は少なくない。大型の整備士はひっ迫している。昔は、夜中、深夜でもトラックを整備していたが、今の若い人は、給料が安くても労働時間が短く、休みが多い仕事をしたがる。ディーラーは限られた人数で効率よく台数をさばかなければならないため、一つ一つの部品を直している余裕もない」と話す。
 運送会社の中には、自社で整備工場、整備部門を設ける動きが出てきている。
 約70台を保有する運送会社では、1年前からタイヤ・オイルの交換や比較的簡単な修理を自社で行っている。特にタイヤ交換の費用は自社整備によってすぐに効果が出て、約30%削減できたという。今後、認証工場の許可取得を目指していると話すが、自社整備の動きは今後も出てきそうだ。