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気付かず立ち去るとひき逃げに 駐車中のトレーラーに乗用車衝突(2021/06/06)


トレーラー会社「追突されても伝わりにくい


今年1月、静岡県袋井市の国道1号バイパスでバイクの運転手が転倒して死亡する事故があり、乗用車を運転していた男が直接の接触はなかったものの、ひき逃げの疑いで逮捕された。男は現場から立ち去ったとして、救護義務違反の疑いとなった。男は乗用車を運転中、追い越し車線に車線変更をして後ろから走ってきたバイクの進路を妨げ、急ブレーキをかけたバイクが転倒したにもかかわらず、そのまま逃走した。

「ひき逃げ」といえば一般的に、運転中に人や車両などと接触した際に現場を立ち去るケースが思い浮かぶが、相手に接触していなくても「ひき逃げ」になる。また、車を駐車中に「ひき逃げ」になることもある。
昨年7月、石川県野々市市の市道で、路上駐車していたトレーラーに乗用車が追突し、乗用車のドライバーが死亡した。トレーラーで仮眠を取っていた男性運転手は仮眠後にそのまま出発し、その場を立ち去ったとして、過失運転致死、救護義務違反の疑いで逮捕された。男は調べに対し、「追突されたことに気付かなかった」と話した。
道路交通法では交通事故が起きた際に、運転者は直ちに負傷者を救護する義務がある。負傷者の救護や警察への連絡をせずにその場を立ち去ると、「救護義務違反」とされ、いわゆる「ひき逃げ」として刑事罰や行政処分の対象になる。
罰則は10年以下の懲役または100万円以下の罰金、救護義務違反の点数は35点。
 さきほどのケースのようにトレーラーを運転していて、「追突されたことに気付かなかった」といったケースはあるようだ。

トレーラー運転手のAさんは、「トレーラーは連結部分がクッションになり、運転席まで事故の衝撃が伝わらないことが多くある。事故防止のために周辺確認を念入りにしているが、それでも事故に気づかないかもしれない」と話す。
大型運転手のBさんは、「乗用車にノーブレーキで追突されたことがあるが、『コツン』とした感触だけで、追突されたとは思わなかった。大型車にはミラーやバックカメラだけでは補えない死角があり、対策に困っている」とする。
重量物輸送を行う運送会社の担当者は、「重量物を積んだトレーラーの場合、乗用車に追突されても音や振動が運転席まで伝わりにくいため、事故に気づかないことは珍しくない。乗用車がぶつかってきても、全く音や振動がないケースもある。また、ミラーが死角になったり深夜で視界が悪かったりすると、知らず知らずのうちにひき逃げになってしまう可能性はある」と話す。
また、「駐車中に仮眠をとっているドライバーは疲れ切って熟睡していると、少々の音や衝撃では起きない。そういった意味では、トレーラーは乗用車よりも『ひき逃げ犯』になる可能性が高い。何の悪意もないのにドライバーは『ひき逃げ犯』になってしまう可能性がある」と話している。

運送業界を中心に保険を扱う損保代理店の担当者は、「ひき逃げ=救護義務違反は道路交通法違反になり、ドライバーには刑事罰が科される。そして民事上の責任であるが、例えば、お年寄りが自転車でトレーラーの横を走っていて接触せずに転倒した場合、お互いどれくらいのスピードで走っていたのか、間隔はどれくらい離れていたのかなど事故の因果関係を明らかにして、賠償金額を算定する必要がある。実際は、加害者に100%過失があるとするケースは少ない」と話している。