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なぜ急ぐ? 自治体との災害時支援協定 佐川急便(2022/05/06)


今年に入り46件 過去5年上回るペース


 佐川急便が地方自治体と災害時支援協定を結ぶ動きを加速させている。今年に入ってから、同社サイトのニュースリリースには、自治体との協定締結を伝える記事が連日のように並び、4月15日現在、その数は46件にもなる。自治体との協定締結に関するニュースリリースの数だけでみると、2017年から2021年までの5年間は計26件。今年は既にその倍以上になっている。
 今年3月末時点で全国の自治体や企業と約170件の支援協定を締結しているという。この件について同社経営企画部の馬場百恵氏は、「経営理念にもとづき、地域住民の暮らしを支える社会的責任を果たすべく、自治体との連携をすすめている結果」と説明する。
阪神淡路大震災や東北大震災では、避難所に支援物資が届かず、県庁や市役所など自治体の施設に物資が大量に滞留する事態が発生した。
 当時は、その原因として「配送ルートの寸断」「人員不足」「配送先の把握が困難なこと」などが挙げられていた。しかし、近年になって、支援物資を受け入れる自治体の体制が整っていないことが主な原因だと考えられるようになった。
 日通総研が2019年9月にまとめた「災害時支援物資物流における官民連携」によると、「(過去の大規模災害時、自治体は)物資の搬出入口が少なく、一度に大量の物資を取り扱うスペースもなく、県庁や市役所などを物資の集積拠点としていた。また、物流のノウハウを持たない自治体職員やボランティアが、荷受け・仕分け作業をバケツリレーなどの手荷役で行っていたため、トラックからの荷卸しが遅れ、県庁や市役所の前にはトラックの大行列が発生していた」と指摘する。
 自治体は、こうした問題を解消するため、大手運送会社と支援協定を結び、災害発生時に倉庫などの物流拠点と、物流のプロがもつノウハウを活用できるようにした。佐川急便の災害時支援協定も、そうした流れを受けたものだ。

 【写真】佐川急便の支援物資輸送業務の様子(熱海市)