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「やさいバス」好調 11都府県に(2022/09/19)


バスのように巡回する共同配送


生産者とお店をつなぐシンプルな流通



 やさいバス㈱(加藤百合子社長、静岡県)は、農家で採れた野菜を地域のお店に直接届けるため、ECと地域の共同配送を合わせた生鮮流通システム「やさいバス」を展開する。
「やさいバス」の流れはこうだ。小売店や飲食店などの購入者は、インターネットで生産者に直接注文する。生産者は直売所や道の駅、青果店、卸売業者の倉庫などに設定された「バス停」に野菜を持ち込む。
 そして、「やさいバス」と名付けられた冷蔵トラックが、決まった時刻にバスのように巡回して野菜を回収し、購入者の最寄りの「バス停」まで届ける。
 集荷するのは自社や地域の運送会社のトラック。広島では本物のバス停を活用して、複数の路線バスが「貨客混載」事業として県内各地の野菜を広島市内へ運ぶ。
購入者は商品代とコンテナ1箱当たり税込み385円の送料、生産者は売り上げの15%をシステム利用料として負担し、決済はECシステム上で行う。同社によると、このシステムで、出荷コストを10%、物流コストを75%、CO2排出量を66%削減できるという。
生産者にとっては、販路の拡大、購入者のニーズ把握、配送の手間削減などのメリットがある。購入者にも、新鮮な野菜が届く、生産者から直接野菜が買える、仕入れコスト削減などのメリットがある。
 一般的な流通では、出荷から消費者までJA、市場、仲卸、小売を経て4日くらいかかる。やさいバスは倉庫をもたず、出荷当日から次の日にはお店へ届く。
決まった時刻にバスのように巡回して集荷するシステムは、「ミルクラン方式(巡回集荷)」と呼ばれる。牛乳メーカーが原料の生乳を調達するため各牧場を巡回したことに由来し、自動車メーカーなどで導入されている。
 加藤社長は、2017年に静岡県で「やさいバス」をスタートした背景について「野菜のおいしさよりコスト削減のための物流効率化を優先した結果、産地から東京へ出荷し、再度産地へ運ぶ。美味しい野菜をつくっても、流通過程が長く品質が下がってしまう。生産者はよい評価を得られず、消費者も美味しくないものを食べるという課題をシンプルに解決したかった」 と話している。
7月時点で11都道府県にて展開し、利用者は購買者が約1000件、生産者が2300件に上る。
 加藤社長は、「生産者が自発的にマーケティングできるように情報提供し、やさいバスを介して生産者同士、生産者と購買者、購買者同士のつながりを強くしたい。全国、さらに海外へも展開したい」と意欲的に話している。


 【写真】まちを走る「やさいバス」