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「お前、アホか!」では改善しない パワハラをなくす方法は?(2022/10/16)
スポーツ界では「指導」を徹底
パワハラ防止法(労働施策総合推進法)は2020年6月1日に大企業に対して施行され、2022年4月1日からは中小企業にも範囲が広がった。パワハラは、職場内での優位性を背景に精神的・身体的苦痛を与える行為を指すが、従業員への接し方に苦慮する会社は少なくない。
パワハラ問題に詳しい弁護士は、次のように話す。
「パワハラはなくならない。セクハラと違ってパワハラは『業務』だから。セクハラの場合は、セクハラをしないと業務にならないというものではない。パワハラは、『何度言っても聞かないのでついカッとなった』『自分もそのように教えられたので、そう教えるしかなかった』といった背景がある。『パワハラをなくす』というのは、『業務の指導方法を変える』ということです」
パワハラをなくすは、指導方法を変えることと密接に関わっていると説明する。
では、「パワハラ」と「指導」は、どこで線引きしているのか。その基準は「あなたが言った、その一言で業務が改善しますか?」にあるという。
「『お前、アホか!』と言われて、『もう少し頑張って賢くなります』『じゃ、あの人に聞けばいいんだ』と思える人はアホじゃないです。賢いです。でもこんな人はいません。つまり、『お前、アホか!』と言ったことで改善するわけではない。言う側が怒りをぶつけているだけです。
だから頭ごなしに責めるのではなく、言われた人がなぜそうなのか自分なりに考えたり、言う人がダメなことはなぜダメなのか説明したりすると、言われた人も納得する。納得した上で違うものを持ってきたら、今度は注意する。
つまり、『これではダメ』を説明できるように、改善できるようにという観点で考えてみることです」
パワハラを指導に変えているところにスポーツ界が挙げられると話す。
「悪質タックル問題などいろいろありましたが、先進的な取り組みが増えています。昔は根性論でした。でも、今のスポーツ界は違います。たとえば柔道では、持ち上げる技が弱ければ足腰を鍛える。引っ張る力が弱ければ背筋を鍛える。そういう鍛え方をするわけです。
昔は根性論で、『お前、アホか!』で終わった。それでは改善しないわけです。スポーツ界では、なぜその人がダメなのか、と分析する人がいてその部分を鍛える方法があって強くなっていっています。だから指導法を変えないといけないのであって、スポーツのフォームを教えるように、『もう少しこうすればいいんじゃないか』というように、指導していく。
パワハラっていうのは、結局、それが指導になっているか、ということを考えてください。そうすると、こちらの気持ちも変わります。『あいつのために何でこんなに考えてやらなければいけないんだ』といった気持ちも薄れてきます。指導なら多少大声でもセーフです」