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軽乗用車による貨物運送解禁 最大積載量165㎏(2022/12/04)


「自宅の軽乗用車で配達したい」58%


ダンピングや事故増加の懸念も



 国内のEC(ネット取引)の市場規模は金額、物量共に増加傾向にあり、国土交通省が行った「宅配便等取扱個数の調査」によると、過去5年で宅配便の取扱個数は10・8億個(23・1%)も増加している。ECが拡大を続け、宅配・デリバリーなどの需要が増加する中、軽貨物運送の規制緩和を求める動きが出ていたが、10月27日、軽乗用車(5、7ナンバー)による貨物運送が解禁された。


 個人が所有する軽乗用車を使って軽貨物運送が行えるわけだが、その場合、営業用ナンバー(黒ナンバー)を取得する必要がある。
 従来、4人乗りの軽乗用車で黒ナンバーを取得する場合は、後部座席を取り払って「荷室」に改造する必要があったが、今回の規制緩和では、後部座席を前方に倒せばフラットな空間となり、段ボール箱などを積載できることから、座席を残したままでも黒ナンバーを取得できるようになった。
 軽乗用車の最大積載量については、従来の軽貨物自動車と差が設けられた。軽貨物の場合、道路交通法により最大350㎏まで荷物を積めるが、軽乗用車については、軽貨物の半分にあたる最大165㎏にとどめた。
165㎏の根拠は、軽乗用車の乗車定員は4人であることから、最大の可能積載量を「4人×55㎏=220㎏」とし、ここから運転手の体重分55㎏を差し引いた分を最大積載量とした。


 軽乗用車を使った運送は増えるのであろうか。副業を始めたいと思っている労働者の数は年々増加している。
 令和2年8月、厚労省の労働政策審議会は、日本の労働者の副業・兼業について実態調査を行ったが、それによると、副業をしている人の割合は9・7%だった。
また、今年9月、配送効率化アプリ「TODOCUサポーター」を提供する207㈱ (東京都) が、軽乗用車を使用した配送に関する意識調査行ったが、「空き時間を活用して収入を得たい」人は65%だった。その調査によると、「自宅の軽乗用車で配達ができるならやってみたい」という人は58%に上った。スキマ時間や休日を活用して軽乗用車を使って働きたいニーズはあると考えられる。
 一方、軽貨物運送への個人ドライバーの新規参入増が見込まれる中で、交通事故の増加が 懸念されている。
 9月30日に開催された「事業用自動車に係る総合的安全対策検討会」では、事業用軽貨物自動車の人身事故が2016年~2021年の間に26%増加している点があげられ、軽貨物運送業者への注意喚起が行われた。
 事業用軽貨物は、追突事故、出合い頭の事後を起こす割合がとくに高いとして、10月には国交省が関連業界団体に対し、交通ルール遵守を運転者に指導するよう事務連絡を出した。(12月5日号)