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従業員は会社に満足しているか 商工中金「幸せデザインサーベイ」が好評(2022/12/11)
「従業員満足度」を数値化
「従業員は会社に満足している」――そう考えている経営者は少なくない。「従業員満足度」は、経営者なら気になるものだが、一般的に経営者からのこのような問いかけ(アンケート)は、匿名性を保つことが難しく、経営者は経験や勘に頼って「従業員満足度」の向上に取り組むケースが少なくない。しかし、肝心なポイントを見逃してしまうことも考えられる。商工中金では、「幸せデザインサーベイ」という従業員へのアンケートを行い、会社の幸せ度を数値化するサービスを2020年から行っている。
「幸せデザインサーベイ」は、従業員がパソコンやスマートフォンから、幸せに関する100の質問に答えてもらうことで、会社全体の幸せを「見える化」するもの。(※サーベイは英語で調査を意味する)
所要時間は約15分。質問は、会社の幸せ構成する5つの要素(①チームパフォーマンス、②コミュニティ・コミュニケーション、③マネジメント、④カラダ、⑤マインド=幸福度)に関するものが出される。例えば、「上司は頼りになる存在か」「地域のイベントに参加しているか」「自社のサービスや製品に自信を持っているか」といった質問がある。
ちなみに、この調査については慶應義塾大学院システムデザイン・マネジメント研究科の保井俊之教授が監修しており、個人を特定するような質問は一切含まれないよう工夫されている。
調査結果は商工中金が最先端の分析ツールを活用して分析する。結果はレポートとして経営者に届き、その企業の傾向や特徴をもとにした、「従業員満足度」の向上への取り組みを進めるコツが伝授される。
希望する企業には、幸福度を高めるための「幸せデザインワークショップ」という社内研修会を行うことができる。調査結果をもとに従業員同士が会社の現状を把握し、幸せな会社になるための取り組みを考えていく。商工中金の職員が進行役を務め、対話をサポートする。
日本企業は従業員満足度が世界的に見て非常に低い。経産省が2019年9月にまとめた「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会」の報告書によると、世界139カ国を対象に行った「従業員満足度」についての調査で、日本は132位(ワースト9位)だった。
幸せデザインサーベイは現在、年間500社を超える企業が利用している。業種は様々で、その中には運送会社も多数含まれている。
商工中金未来デザイン室の担当者は、「昨今、少子高齢化が進む中で、従来のように従業員を使い捨てにするのではなく、一人ひとりの個性や長所を活かした会社を作る必要があると感じている。また、中小企業は転勤や異動、社長の交代がないため、ワンマン経営になりがち。調査結果を活用することで、従業員目線の『幸せ経営』を実践しやすくなると考えている。仮に点数が低くても、経営者の方はショックを受ける必要はない。大切なのは点数よりも全体の傾向。自社の強みや弱点を把握することが改善につながり、幸せな会社を作る第一歩となる」
昨年、「幸せデザインサーベイ」を㈱ロジックワークス(大阪府貝塚市)が実施した。谷中裕和社長は、「調査結果は合計80点以上で全国でもトップクラスの『幸せ指数』だった。うちは社員の平均年齢が30歳台の若い会社。若い社員たちが会社を高く評価してくれたことは、経営者としては嬉しい。こうした社員の評価を今後も維持できるようにしていきたい」と話す。
同じく昨年、調査を受けた大橋運輸㈱(鍋嶋洋行社長、愛知県瀬戸市)の人事担当者は、「『幸せ』という切り口で回答するので、授業員は気軽に参加できたと思う。現状、自社の『従業員満足度』を客観的に分析するような機会はほとんどない。調査を通じて社員の本音を知ることができたし、チームワークを見直す良いきっかけになった」と話す。
(12月5日号)