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燃料価格補助金 110億円使われず(2023/02/12)


財務省の予算執行調査で明らかに

小売業者「自社の赤字補填に充てた」

 原油価格の高騰は、物流に悪影響を及ぼしている。国は燃料価格が一定水準を超えた際に、石油元売り事業者に価格抑制の原資を補助金として支給し、小売価格の急騰を抑制している。経済産業省が管轄するこの補助金事業=「燃料油価格激変緩和対策事業」は、令和4年1月24日時点に価格が170・2円/ℓ(ガソリン価格)となり、発動要件の170円/ℓを超えたため支給が開始されているが、財務省主計局は補助金の一部が価格抑制に使われていなかったことを公表している。

 補助上限額は、制度開始直後5円、3月10日以降25円、4月28日以降は35円と拡大されているが、財務省は令和4年3月から7月にかけ、経産省が管轄する「燃料油価格激変緩和対策事業」について、「予算執行調査」を行い、10月に調査結果を公表している。それによると、補助金総額5577億円に対し、抑制額は5467億円で、110億円(総額の約2%)が価格抑制に使われていなかったと公表している。
財務省の「予算執行調査」は年2、3回実施され、調査では「マイナンバーカード交付事務費補助金(R4年7月調査)」「IT導入補助金(R3年9月調査)」など、30件以上の予算について、各省庁が有効活用しているか調べている。
財務省主計局司計課予算執行企画室によると、「燃料油価格激変緩和対策事業」が調査対象となったのは今回が初めて。調査では小売事業294者に対し、燃料販売価格の決定方法等について聞き取り調査も実施し、補助金の販売価格への影響について調査している。

 このうち「店頭での販売価格は補助金の全額分が抑制(=補助)されているのか」という問いに対し、事業者の23%(36者)が「補助金の全額分は抑制できていない」、32%(49者)が「補助金全額分抑制できているか分からない」と回答。「補助金の全額分抑制されている」と回答したのは45%(70者)だった。
補助金の全額分を販売価格に転嫁していない理由としては、「近隣店舗の市況を見て判断した」(75%、64者)、「過去の価格変動による転嫁不足が生じていた」(25%、21者)、「小売価格の急激な変動を避け、複数週に分けて卸売価格の変動を反映させたため」(24%、20者)、「卸売価格に補助金がいくら反映されているか知らないため」18%、15者)などが挙げられた。
「自社の利益(赤字補填など)に充てたため」(2%、2者)といった回答もみられた。
財務省の担当者は、「補助金全額分を販売価格に転嫁できなかった理由として、約8割の小売事業者が『近隣店舗の市況を見て判断したため』と回答しており、ガソリン販売価格に補助金の全額が反映されているとは言い難い状況だ。経産省は補助金の趣旨を小売事業者に対し周知・徹底し、補助金全額分の販売価格への転嫁を促すべきだ」と指摘する。
(2月6日号)

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