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ダブル連結トラック3年で15倍に 2024年問題、人材不足背景に急増(2023/02/19)


 国土交通省は、昨年11月、1台で型トラック2台分の輸送が可能な連結全長21m超のダブル連結トラックの通行区間の拡充を発表した。これによりダブル連結トラックの通行可能区間は、従来(2050㎞)の2・4倍、5140㎞まで延びる。ダブル連結トラックの台数については、損害保険ジャパングループのシンクタンクの水上義宣研究員が国交省にヒアリングした数字によると、『特殊車両通行許可』を受けたダブル連結トラックは、2019年から2022年までの3年間で、14台から205台(約15倍)に増加している。
 大手運送会社では、ヤマト運輸が2017年にダブル連結トラックを導入。2019年3月から西濃運輸、日本通運、日本郵便、ヤマト運輸の4社による「スーパーフルトレーラSF25(全長25mのダブル連結トラック)」を使った関東~関西間の共同輸送を行っている。
 福山通運では、「ダブル連結トラックは1台で通常の大型トラック2台分の荷物が運べるため、幹線輸送の効率化、ドライバーの労働環境の改善、CO2排出量の削減といったメリットがある。現在、ダブル連結トラックを運転できる有資格者(牽引免許保有者)は1500名以上在籍しており、今後さらに台数を増やしていく予定」と説明。
 西濃運輸は、「ダブル連結トラックの導入により、積載量が従来の大型トラックの約2倍となり、1度に大量の荷物を輸送できるようになる。また、異なる事業者のトレーラーを連結し、1台の車両として運行できることから、事業者の壁を越えた輸送の効率化につながる。ドライバーの運行時間も短くなるため、業界全体の課題である人手不足への有効な解決手段となる」と話す。
 ドライバー不足の中、大型車2台分を1人のドライバーで運行できるダブル連結トラックは、中継地点でスイッチ輸送すれば、時短、生産性の面で大きな効果が期待できるが、損害保険ジャパングループのSOMPOインスティチュート・プラスの水上研究員は、ダブル連結トラックの現状の課題について次のように指摘している。
 「実際の運行面では、導入している運送事業者からは、『インターチェンジから営業所までの通行許可協議に応じてもらえない』『首都高など都心部の通行ができない』『通行止めがあった場合でも、迂回できない』『突発的に荷物が増えてしまった場合でも、ルートから外れた施設には入庫できない』といった声も聞かれる。
 また、ダブル連結トラックの車両の導入コストは大型トラックよりも高額となる。エンジンが1台で済むため、ランニングコストは安くなるものの、高額な導入コストを、車両を使い続けてペイする形になり、長期間にわたり安定した仕事を確保する必要があり、必然的に、ダブル連結トラックを導入できるのは大手の運送事業者に限られてしまう。
中継拠点については、現状、各事業者が高速道路の近くにある、自社の拠点を活用しているが、多くの事業者にダブル連結トラックを導入してもらうためには、トラックターミナルのような、誰もが利用できる拠点を整備する必要もある。昨年、三菱地所が新名神に直結する物流拠点の整備を発表したが、今後は、このような拠点整備も並行して進めなければならない」(2月20日号)