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トピックスitiran

いかに「待機」じゃなく「休憩」に持っていくか(2023/05/01)


「960時間規制」控え、コンサルがアドバイス



 働き方改革関連法によって2024年4月1日以降、自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限が960時間に制限される。上限規制に違反した場合、使用者に対して、「6か月以下の懲役もしくは60万円以下の罰金」が科せられる。1か月あたりの労働日数を20日と仮定した場合、1日あたりの時間外労働時間が4時間だと、年間時間外労働時間は960時間となることから労働時間の管理は特に注意が必要になってきそうだ。

 運送業専門のコンサルタントは、「1か月の労働時間の把握。1日8時間週40時間のはみ出たところをどう短くしていくか。『上限960時間』をクリアするには、その時間の管理をきちっとすることが大前提となる。止まっているトラックの時間の把握。休憩なのか、待機なのか、荷積みなのか、荷下ろしなのか、の把握が重要になってくる。しかし、トラックの止まっている時間を把握していないところが少なくない」と指摘する。
 例えば、次のような場合がある。
 朝9時にしか荷物が積めないという場合、朝7時に運送会社事務所を出たら9時までに間に合うとのことで出発。道路事情がよく、8時30分に到着。早く着いて、会社に連絡すると、「9時まで待っていて」と返事をした。
 ここで「9時まで待っていて」と返事してしまうと、9時までの30分は「待機時間」になる。つまり待機時間=労働時間にカウントされることになる。
この場合、「9時まで休憩していて」なら、30分は待機時間ではなく休憩時間になるので、労働時間にカウントされない。
 「労働時間を削減するには、いかに待機じゃなく休憩に持っていくかが大事になってくる。休憩になるように持っていくには、待っておいて、とは安易に使ってはいけない」とコンサルタントは話し、また、言ったことが確実に伝わるようにLINEの活用も進める。
 
 また、「だから、お客さんにも、時間管理のことについて言っておく必要がある。8時30分に着いて、『休憩』 していても、8時50分にお客さんから運転手に、『荷物が早くできたから積んでもいいよ』と連絡が入った場合、8時30分から8時50分までは『休憩』ではなく、『待機』になる。それまでお客さんの連絡を待っていたということになり、待機=労働時間にカウントされる」と説明する。
 長距離でも、9時積み込みで、早く着いて6時40分に着いたとする。9時まで2時間20分休憩との指示があっても、お客さんから「荷物が早くできたから今から積んで」と電話があり、運転手が7時30分から積んだ場合、6時40分から7時30分までは待機になる。「だから、休憩にするには9時まで一切電話なしにしないとダメ。荷主にも電話しないように伝えておく必要がある」と強調する。
9時からしか積めない、と荷主に理解を得て、運転手には運行指示通りに動くよう伝える必要があると話す。
 
 コンサルタントは、「売上や何の荷物を運んでいるといったことついては知っているが、現場で車が止まっている時間をきちんと把握している運送会社の経営者は少ない。車が止まっている時間が休憩なのか、待機なのか、積み下ろしなのか日報に書かせる。時間管理をデジタコチェックで行い、常に言い続ける。野放しはダメ。一つ一つの積み重ねです」と話していた。(5月1日号)