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参加者なく廃止の声上がる   トラックドライバーコンテスト(2023/10/29)


入賞者の大半は大手が占める


 ドライバーコンテストは、トラック協会が、ドライバーの運転技術と知識の向上を目的に1969年から毎年開催している。各都道府県の予選を勝ち抜いたドライバーが全国大会に出場するが、全国大会の入賞者は、毎年、日通・西濃といった大手運送会社のドライバーが上位を占める。ドラコンに積極的にチャレンジしている中小の運送会社が上位に食い込むこともあるが、少数派だ。今年、あるトラック協会で、ドラコン開催にあたって開かれた会議で、「2トンクラスは廃止してはどうか」という声が上がった。
 

 ドラコンの県予選で自社のドライバーがトレーラー部門で優勝したこともある、関西の運送会社A社の社長は次のように話す。
「昨年、県ト協が開催したドラコンでは、2トンクラスの参加者がいなかった。そのため、今年のドラコン開催にあたって開かれた会議で、ある会員から『2トンクラスは廃止してはどうか』という声も上がった。結局、廃止は見送られたものの、今後もドラコンへの参加者、特に中小の運送会社からの参加者が減り続ければ、大会の開催自体が危うくなるのではないか」
 さらに、「そもそも中小の運送会社は、大手のようなドライバーの研修施設を持っていない。駐車場も狭いところがほとんどで、トラックを駐車してしまうと、ドラコンの練習に使えるスペースはほとんど無い。大手のドライバーは、ドラコンへの出場が決まると、一定の練習期間が与えられると聞くが、中小のドライバーは業務が手いっぱいで、満足に練習もできない。学科試験の勉強なども、時間外や休日を割いてやらざるを得ない状況だ」
 大手に比べ、設備面、人員面で劣る中小零細の運送会社はドラコンへの参加は不利だという。運送大手・センコーでは、過去7年間で計62名のドライバーがドラコン全国大会に出場。全国ベストテン入りを果たすドライバーも多数存在している。実際、ドラコンの全国大会に出場するドライバーは、集合研修を2泊3日で行っている。

 そしてA社の社長は次のように提案する。
「トラックドライバーの運転技術や安全意識を向上させるために、ドラコンは優秀なツール(教材)であることは間違いないが、現状、中小運送会社のドラコンへの出場は『ドライバーのやる気頼み』になっている。やる気のあるドライバーに残業や休日出勤をしてもらい、ドラコンの練習を行うという状態が続けば、参加する者が減っていく恐れもある。
このような状況を改善するため、トラック協会はドラコンの参加者に『参加手当』を支給するなど、何らかの助成措置を講じてみてはどうか。 
 また、大手と中小に分けて競技を行うなど、開催方法も見直した方が良いと思う」
ちなみに、この運送会社のドライバーは、今年のドラコン県大会で、大手運送会社のドライバーに混じって3位に入賞している。(10月16日号)

 【写真】ドライバーコンテスト全国大会の様子