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日本初、「トラック給電」実証実験(2023/12/10)
自走して電力を供給
アイドリング時に600Wの電力
電動フォークリフトのバッテリー監視サービス「点検なび」などを展開する㈱イーコース(菊竹玉記社長、東京都)は今年8月、㈱大昇物流(和野裕一社長、宮城県大崎市)の車両で、ディーゼルトラックのバッテリーから給電する日本初の「トラック給電」の実証実験を行い、アイドリング時に600Wの電力が取り出せることが確認できた。
災害時に自動車メーカーなどがEVを派遣して給電を行う事例はあるが、トラックから給電する前例はない。そのため、いすゞ自動車東北㈱(仙台市)と、バッテリーを製造するエナジーウィズ㈱(東京都)に技術的評価を依頼し、実証実験を実施した。
9月には仙台市の協力のもと市内の小学校で開催される防災訓練時に給電デモンストレーションを行い、4トントラックから約600Wの電力を約200時間取り出せることを確認した。
これは、スマートフォンを約40台分やノートパソコン約20台分の消費電力に相当する。
イーコースは、災害時に給電できる拠点の情報を提供する取り組みを行っている。在宅で人工呼吸器などの電動医療機器を必要とする人に安心を届けられないかと考え、2020年にアプリ「電源ドナー」の開発に着手し、翌年販売を開始した。
また、電動フォークリフトのバッテリー(DC48V)を電力変換器(インバータ)でAC100Vに変換して災害時に給電できる拠点として、地図上に示す「電源ドナー」の普及を目指し、2021年、協和運輸倉庫㈱(仙台市)とともに実証実験を行った。
現在、㈱白石倉庫(宮城県白石市)など宮城県の5か所と藤久運輸倉庫㈱(愛知県刈谷市)が、災害時の給電拠点として「電源ドナー」に表示されている。
しかし、電動フォークリフトは公道を走行できず、災害時に給電を必要とする人は倉庫まで行かなければならない。
そこでイーコースの菊竹社長は、移動が困難な人のもとへ自走して電力を供給できるよう「トラック給電」の検討を始め、今回の「トラック給電」実証実験に至った。
菊竹社長は、「在宅で人工呼吸器を使用する患者さんは、災害時に停電が長期化すると電源が命のカウントダウンになるため、平時から心配している。
今後は、全国に2万人いるといわれる医療的ケア児と家族向けに給電デモを仙台市で実施し、地域の物流企業がインクルーシブ防災(誰も取り残さない防災)に取り組む事例を全国に発信し、地域と連携する次世代型の物流企業になるよう貢献していきたい」と話している。(12月4日号)
【写真】「トラック給電」の実証デモの様子