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「未払訴訟案件増えている」  2024年問題前に駆け込みか(2024/01/14)


 残業代請求の時効が、2020年4月1日より2年から3年へと伸びた。2023年度からは、2020年4月1日以降に発生した未払賃金に関して、丸々3年の時効が適用されるようになった。 労働問題に詳しい物流コンサルタントによると最近、未払い残業代訴訟に関する話をよく聞くようになったという。

 物流コンサルは、「今年4月以降、働き方改革が始まるが、(残業時間が減る分)給料が減るのではないかと不安に思うドライバーの存在が大きいのでは」と話す。
また、「ドライバーの心理を見透かし、未払い残業代訴訟を起こしてみませんかと声をかけてくる弁護士もいる。未払い残業代の時効が伸びたこともあり、今は弁護士にとって訴訟案件をゲットする絶好の機会」と話す。
 実際、「弁護士費用の着手金は0円」といった文言は、未払い残業代訴訟を手掛ける弁護士事務所のHPでもよく使われるようになった。
 運送会社向けに未払い残業代対策のセミナーを開き、啓蒙活動を行っている東京の弁護士事務所の代表は次のように話す。
「現実問題として、長距離メインの会社や人手不足の会社にとって法令遵守のハードルは高く、管理者はドラレコの数字を見て違反を認識しても、会社のために見て見ぬふりして、時間をごまかしてしまう。最近の国土交通省の調査によると、2024年問題対策を実施している事業者は、運輸業全体の62・3%。逆にみれば、取り組みを行っていない会社が3割強もいるということ。従って、長時間労働や割増賃金に関する問題も、今後、まだまだ発生するだろう」

 過去に、自社の賃金体系を刷新した経験がある大阪の運送会社社長は、
「そもそも未払い残業代訴訟は、訴えられたら、運送会社に100%勝ち目はない。総支給を基本給、職務給、残業代などに割り振っているような会社は、早めにドライバーの労働時間で賃金を計算するやり方に変えておかないと、万が一、未払い訴訟を起こされた時、とんでもない額の残業代を請求されて泡を食うことになる」と話す。
 社長は、労働時間に基づいて賃金を支払うには、きちんと就業規則を整備すること、デジタコを導入することは必須だと指摘する。(1月15日号)

【写真】高速道路のサービスエリアのシャワー室に貼られている弁護士事務所の広告