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「スイッチ切っている」 トラックの自動ブレーキ(2024/04/03)
新車の装着率は96%に及ぶが
「自動ブレーキ」は、トラックには車両総重量3・5トン超の車両が2013年以降順次装着が義務化されている。しかし、実際には、装備されていてもドライバーがスイッチを「オフ」にし、解除しているケースもあるという。
国土交通省は1月に道路運送車両の保安基準を一部改正し、トラックなど大型車の衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)の基準を強化し、新たに歩行者に対する制動要件を盛り込んだ。総重量3・5t超のトラック・バスが対象で、適用開始は新型車が2025年9月から、継続生産車が2028年9月から。
新たな基準では、「時速20㎞で走行中に時速5㎞で横断してくる歩行者に衝突しないこと」が要件として追加。また、静止車両に衝突しないことが求められる速度も、これまでの時速20㎞から時速70㎞に引き上げられる。
現在、走っているトラックにどれくらい自動ブレーキが装備されているのか。国土交通省のASV技術普及台数調査によると、令和4年(2022年)は、軽を除くトラック総生産台数32万3393台に対し、被害軽減ブレーキ(対車両)の装着台数は31万1836台で装着率は96%に及ぶ。しかし、現在使われているトラックについては国交省は把握していない。
日本自動車販売協会連合会(自販連)が毎年まとめている新車トラック(中型・大型)と中古トラック(同)の登録台数をみると、新車が5~6万台なのに対し、中古車は35~37万台と、中古車が登録の9割近くを占めている。
トラックは走行距離が100万㎞を超えることも珍しくないため、自動ブレーキ義務化前に販売された車両が相当数走っていることも考えられる。
一方、自動ブレーキについて、関西のある運送会社の社長は次のように話す。
「トラックの自動ブレーキは、意図しない場面で急ブレーキがかかることがある。乗用車に急に割り込まれた場合、自動ブレーキがかかるケースがあるが、それは荷崩れにつながり、荷主からのクレームになる。だからそれを防ぐため、ドライバーの多くが自動ブレーキのスイッチを切っている。歩いている人にも自動ブレーキが反応するようになれば、意図しない急ブレーキが発生する回数も増えてしまうのではないか」と話す。
自動ブレーキはトラックに装着されていても、オンオフの切り替えができるようになっている。
これについて、大阪府警交通指導課の担当者は、「自動ブレーキが装備されているトラックで、装置が作動しないように意図的にスイッチを切っても、現状、法令違反にはならない」と説明する。(4月1日号)
【写真】自動ブレーキの装着率は上がっているが・・