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求人倍率 任期制自衛官で31倍(2024/07/21)


退職自衛官に求人が殺到


即戦力として期待値高


 自衛隊では、定年制および任期制という制度を採用しており、多くの自衛官が50歳代半ばおよび20歳代半ばで退職し、その多くは再就職先を必要とする。防衛省や自衛隊援護協会では、退職自衛官の再就職を支援する取組を行っているが、人材不足の業界が多い中、退職自衛官の採用は即戦力として期待が高く、争奪戦となっているようだ。

 自衛隊では、訓練に従事しながら数多くの免許や資格を取得できる。特に訓練で大型車両を活用する都合上、大型自動車免許はほとんどの自衛官が取得する。その他、けん引免許、フォークリフト、クレーン、危険物取扱者、自動車整備士などの資格保有者も多数いる。
 また、幹部自衛官(3尉以上の階級の自衛官)の退職者は、多数の部下を管理・指導・統率した経験を持ち、企業の幹部や幹部候補生として採用されることもある。
 退職自衛官の再就職は各企業が自衛隊の地方協力本部へ個別に求人の申し込みを行うが、都道府県トラック協会では会員から求人票をとりまとめ、地方協力本部や自衛隊援護協会の支部に提出を行う。
 やはり、近年の人材不足の中、退職自衛官への求人は年々増えているようで、令和4年度の求職者数は、定年制自衛官で5032人、任期制自衛官で1227人に対し求人数は定年制で3万2503人(求人倍率6・46倍)、任期制は3万8460人(求人倍率31・34倍)と、同年の全国の求人倍率(1・24~1・36倍)と比較しても非常に高い水準となっている。

 陸上自衛隊によると、令和4年度に退職した陸上自衛官のうち、定年制自衛官が約450名、任期制自衛官約160名が防衛省の再就職支援を受け、運輸業へ再就職したが、関係者によると、運送業は苦戦しているという。その理由として、大型免許の制限がある。
 かつては自衛隊で取得した大型免許で一般の大型車の運転が可能だったが、平成19年の道路交通法(免許制度)改正で自衛隊の大型免許は「自衛隊車両に限る」という限定付きとなり、民間で運転可能な車両は中型免許と同等の車両となった。

 警察庁は、その理由として自衛隊内で大型車の教習車両として使われる「73式中型トラック」が道交法改正後の標準試験車の基準を満たさなくなったことと中型免許用のコースを使用していることを挙げる。
 そのため一般の大型車を運転するには限定解除を行う必要があり、運転免許試験場で限定解除審査を受けるか、自動車教習所で6時間の教習を受ける必要がある。 
 かつて自衛官を務めていた運送会社幹部は、「実際の訓練では教習車よりも大きい大型車を運転していたので、能力的には一般の大型車を運転してもなんら問題は無い。自衛官は『上からの命令は絶対』の組織なので、指示をもらわないとポテンシャルを発揮できない人もいる。その点、運送業は自衛隊で培った経験を非常に活かしやすいので退職自衛官には向いている業種だと思う」と話していた。(7月15日号)

【写真】退職自衛官の採用は即戦力として期待が高い