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故障に起因するトラックの重大事故が増加(2024/08/21)
多いのはマフラー部分の故障
ラジオから流れる交通情報。 最近、「トラックの故障により渋滞が発生・・」といった話をよく聞く気がする。実際、全日本トラック協会によると、車両故障に起因する重大事故は2009年から増加傾向にあり、2021年には446件あった。そのうち、車輪、原動機、タイヤ、動力伝達装置の故障によるもので全体の7割を占めている。
一般道や高速道路を問わず多いのは、タイヤの空気圧不足によるパンクやバースト。その他にも、車輪の脱落やバッテリーの過放電、破損、劣化、端子部接続不良、液不足などが挙げられる。こういったトラックの故障は、大きな事故を発生させる原因になり得る。
故障が発生する背景にはどういった事情があるのか。メーカーやディーラーに問い合わせてもはっきりした回答をするところはなかった。
運送会社に話を聞くと次のように話す。
「最近の車両はセンサーが多く、異常を検知すると自動で車を停止させる。ただ、このセンサーが不具合を起こすことが多い。車自体は問題なく走れるのに、センサーの誤作動で走れないなんてことも起こる」
「昔はそこら辺の自動車屋さんでも修理や点検をしてもらえた。だが今はコンピューター制御の部品が増えたので、専用の故障診断機が置いてある一部の工場やディーラーに見てもらうしかなくなった」
「トラックに限った話じゃないが、最近の車は機能性の追求や軽量化で、簡単に壊れやすくなったと感じる。昔の車は20年乗っても大丈夫だが、最近の車は数年乗ったら壊れてしまう」
近年のトラックの複雑さに苦慮する声が多くみられる。
大阪府の指定工場にトラック整備の事情について伺ったところ次のように話してくれた。
脱輪事故増加については、「やはりトラックの車輪に使われるボルトナットがJIS規格からISO規格へと変更されたことが脱輪事故増加の一番の原因。ISOのボルトナットは全て右ネジなので、特に左後部の車輪が緩みやすい。脱輪事故を防ぐには定期的な増し締めをJIS以上に徹底しなきゃいけない」と説明する。
また、最近故障が増えているのはマフラー部分のDPDやDPFと呼ばれる排気ガス浄化装置だという。
「これは中に溜めたススを燃やすことで排気ガスを無害化させる装置だが、燃やすのが上手くいかなかったり、中が詰まってしまうことがある。この装置は2003年あたりから装着が義務になった。今のトラックには最初から標準搭載されているが、以前のトラックには搭載されておらず、装置を外付けしなければならなかった。強引に外付けした形なので故障しやすい」
さらに「トラックが故障する確率は日頃のメンテナンスで大きく変わってくる」とも指摘する。
「日頃のメンテナンスをきちんとできている事業者よりも、きちんとできていない事業者の方が故障が多いと感じる。運送会社はメンテに割ける余裕がない。余裕がないから不完全な整備状態で走り、不完全な整備状態だから故障する。故障を直すために修理費がかさむ。修理費がかさめばさらにお金がなくなる。そういう悪循環に陥っている。
お客さんの中には『できるだけ手をかけずに安く済ましてほしい』と言ってくるところもあるが、うちでは最低限やるべきことはやらせてもらっている。仕事中にトラックが止まったり、事故を起こしたりすれば安く済ませた額以上のお金を失うことになる。そうならないために、クルマの整備はきちんと行う必要がある」
(8月19日号)
【グラフ】車両故障に起因する重大事故件数の推移(出所:全日本トラック協会)