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「トラックを停める場所がない」 TS この10年で19か所が閉鎖(2024/09/01)
SA・PAでもトラックが集中
4月からの運送業に対する時間外労働の上限規制(年960時間)の適用により、さらにシビアとなったドライバーの休憩事情。トラックドライバーとしての休憩場所として、重要度が増すトラックステーション(TS)だが、近年は閉鎖が相次いでいる。
全ト協が管理・運営を行うトラックステーションは、施設内にはシャワールーム等の入浴設備が設置されているほか、食堂やコンビニ、給油所、個室の宿泊施設が設置されているTSも存在する。
宿泊施設は会員事業者であれば安値(3000円前後)で宿泊することが可能だ。
大阪府寝屋川市の国道1号線沿いにある大阪TSに行ってみたところ、中はトラックであふれかえっており、本来は駐車スペースではない中央部分にも複数のトラックが停車していた。
大阪での仕事の度に同TSを活用しているというドライバーから話を聞いたが、「4月になる前はこんな時間帯にここが満車になっていることはなかった」と不満を口にする。
別のドライバーは、「道の駅や高速道路のSAやPAで長時間駐車するとスタッフの人が不審そうに様子を見に来たりするので居心地が悪い。ここは駐車だけじゃなくシャワーも浴びることができ、安値で宿泊できるから重宝している」と話すが、こうも口にする。「最近はTSの数がどんどん減ってきて困っている」
1976年に第1号となる福島TSが建設されたのを皮切りに、全国各地にTSが建設されていった。全ト協及び貨物自動車運送事業振興センター(2018年に全ト協と合併)が運営・管理しているTSは全部で43。そのうち今も残っているのは23。20件が閉鎖され、19件はこの10年で閉鎖されたものだ。
残っているTSについても設備の縮小が行われているものがあり、TSのホームページには営業時間の短縮や給油所の営業終了についてのお知らせが並ぶ。
TSの閉鎖が相次いでいることについて全ト協の担当者は、「TSの維持運営には大きなコストが掛かってしまう。10年ほど前に利用の少ないトラックステーションは時間をかけて整理していくことが決定され、地元の方と相談を重ねながら徐々に閉鎖していった。今はそれが一段落した段階。現在残っているTSを閉鎖する予定はないが、新たに建設する予定もない」と話す。
全ト協は、国やNEXCOに対し、道の駅やSA・PAの新設や駐車スペースの拡張を働きかけている。
NEXCOによると、各SAやPAでトラック駐車マスの拡張工事が行い、従来と同じスペースで駐車台数を増やせるL字型駐車マスへの転換などで、大型車の駐車マスが毎年
500ほど増加しているという。
しかし、それらの取組をもってしてもトラックの駐車スペースが足りてないというのが現状だ。
運送会社ではSAやPAの駐車スペースが足りないという話が多い。話をうかがった運送会社の中には、「東京発はどこも同じような時間に運行する。そんな中で430に則った休憩をするとなると同じSA・PAにトラックが集中するのは必然」という声が聞かれた。
運送会社に話を伺った中で、休憩で利用が最も多かったのがコンビニの駐車場で、ドライバーの食事の調達も兼ねた利用が多い。トラックドライバーの休憩利用を前提として広めの駐車場を用意している店舗もある一方で、店舗や近隣住民から苦情が寄せられるケースもある。
ある運送会社では「そもそも都市部は混むのがわかりきってるんだから、休憩はその手前でしておくべき。うちではGoogleマップを活用して予めトラックを停められそうな駐車場を把握するようにしている」と話していた。(9月2日)
【写真】トラックでいっぱいの大阪TS 駐車スペースでないところにもトラックが停まる