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ハローワークでコンスタントに人材採用  桑原サービス(2024/09/29)


「本当の事をありのまま書くのがポイント」

食品輸送を展開する㈱桑原サービス(桑原勝彦社長、大阪府茨木市)では、ハローワークに求人を出してコンスタントにドライバーを採用できているという。

桑原社長は、「ドライバーを募集して一番多いのは50歳代だが、30歳代40歳代の応募者も少なくない。円安の影響で、工業系国内向け製造はダメになって給料が下がっていっている。そこからの転職組。最近も36歳で子供2人、ネジ工場で働いていたが食べていけないという事で転職してきた。介護、飲食、町工場系から、毎月数人は問い合わせある」と話す。
 同社はインディードにも求人を出してるが、去年からハローワークでも20~30代を中心に結構な数の応募がある。
「一般的に求人は事実でないことを書くところがあるが、求人票には本当の事をありのまま書くのがポイント。うちは応募者が来たらほぼ採用している。その後辞めてないので、雇用した、辞めてない、雇用した、辞めてない、のサイクルがずっと続いている」

面接時に応募者から話を聞いていると、ハローワークの窓口担当者から、「運送なら桑原サービスさんが良いみたいですよ」と何人かが勧められたという。
ハローワークで職員同士が情報交換してるかどうかはわからないが、求人票のブラッシュアップやその熱意、実際の定着率が実績となり評価されているのか。ハローワーク側としても、就職が決まった人がすぐ辞めてしまうと、雇用保険の手続きや就職祝い金の返還など作業が煩わしいかもしれない。
「初めの頃はハローワークから来る人材は雇用に結びついていなかったしかし、ここ2~3年は真面目な転職組が多い印象を受けている」(桑原社長) 
同社では応募者と面接を1時間かけて丁寧に行っている。
「『あなたにお支払いする給料の原資はこういった所から出ています』『この荷主会社はこのような会社です』『求人に書いていた通り、点呼から点呼までが就業時間で、居残りして伝票整理しろとか、早く出て来て準備しろといった無料の業務はありません』」などと説明する。 
なので、求職者との間に「事前に説明が無かった。聞いていた内容と違う」といったミスマッチが起こらない。
 また、同社では雇い入れる前の見学体験も推奨している。半日でも3時間でも、実際にトラックの横に乗って実務の雰囲気を体験してもらう。その後に仕事が出来そうかどうかを判断してもらう。

「ワーキングプア(生活保護の水準以下しか収入が得られない正社員の就労者)の問題も指摘されるが、世の中には低賃金で貧困状態の人たちがたくさんいる。世間では物流は悪いイメージだが、給与面だけで言えば真ん中より少し上くらいはあるのではないか。働く環境さえ整えてあげれば、他業種と比べても見劣りしないはず。
 製造系の採用現場ではハローワークの評価が高く、求人を出せば応募者が殺到するという。メーカーはネームバリューがあるので、無料の求人しか出していない。運送会社だけが年間何百万円もかけて採用に四苦八苦している。
全産業の中の運送業。運送会社同士で少ないパイを取り合っても仕方ない。未経験で他業種から来てもらわなければ」
桑原社長は新たな視点で運送業界を捉えていた。(9月16日号)

 【写真】桑原社長