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行政処分 前年比15%増  コロナ収束が影響(2024/10/20)


専門家「処分の基準改正でもっと厳しくなる」

 行政処分を受ける運送事業者が増加している。令和5年度の行政処分は全国で820件と、令和4年度に比べ約15%増加した。10月から処分の基準が改正され、飲酒運転や過労防止、点呼の違反について規制が強化され、行政処分の数は今後さらに増加していくという声もある。

 国土交通省の自動車総合安全情報によると、令和5年度に行われた貨物運送事業への監査数は、令和4年度の3870件から4736件と約22%増加し、行政処分は713件から820件と約15%増加した。
 処分の内訳は、許可取消が34件から3件、事業停止が22件から16件と減少したが、車両の使用停止は523件から621件と98件増加し、延日車数は3万3889車から3万8174車となり、勧告・警告等も134件から189件に増加している。
 監査件数や行政処分の増加について国土交通省物流自動車局安全政策課では、「令和2年からコロナ禍によって呼出監査や集団指導が行いにくくなっていた。コロナの行動制限緩和により監査や指導が行いやすくなったことが件数の増加につながったと思われる。今年の4月から適用された改善基準告示により、労働時間の規制が厳しくなったことも反映されていると思われる」と説明する。
 行政処分については、9月19日に処分基準の改正が行われ飲酒運転の処分が強化。また、過労防止と点呼の違反の処分についても、違反の件数に応じて処分日数も比例して増加するよう処分が強化された。
 このことについて安全政策課は、「飲酒運転への対策は自動車業界全体で取り組むべき重要な課題。過労防止や点呼の違反は特に深刻な状況となっている。今回の規制内容はそういった部分を反映している」とコメントする。

 監査・行政処分の数が増えていることについて運送業専門の経営コンサルティング・㈲あいち経営コンサルタントの和田康宏行政書士は、「今年は4月からの改善基準告示の適用はあったが、行政処分の基準自体はそのままなのであまり厳しさを感じていない事業者も多いのではないかと思う。行政処分の基準改正以降は、今よりも厳しくなる。その時期に『行政処分が厳しくなった』ことを実感する事業者が増えるのではないかと考えている」
「特に対策すべきなのは1日の拘束時間の遵守と、点呼実施の徹底。点呼は2割~5割の未実施への処罰がとても厳しくなる。今のうちに自動点呼機器を導入して点呼漏れが起こらないような体制を整えておくのがいいと思われる。多少値は張るが、点呼のために1人雇うよりは安価で安定しているし、おそらく助成金も出るので中小でも導入した方が良いだろう」と話す。(10月21日号)