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大型免許取得まで100万円 ドライバー不足の一因?(2025/01/19)
19歳で大型取得も利用ほとんどなし
2024年問題の影響もあり、トラック、バス、タクシー業界は深刻な人手不足に直面している。その一因に挙げられるのが免許の取得費用だ。今、ゼロから大型等免許を取得するまでの必要費用が100万円前後にもなっている。
中型・大型免許を取得するには、「21歳以上かつ運転経験3年以上」という条件を満たす必要があるが、2022年5月13日の道路交通法改正により資格要件は緩和され、「受験資格特例教習」を受講することで「19歳以上かつ運転経験1年以上」で取得することができるようになった。
しかし、特例教習の受講費用はどれくらいか。例えば、19歳で普通MT免許を保有し、経歴1年の人が大型一種免許を取得する場合、経験3年未満を補う経験過程と年齢21歳未満を補う年齢過程の両方の特例教習(計36時限)を受講する必要があり、24~33万円ほどかかる。
その修了後に31時限の大型一種教習(35~45万円)を受講することになり、特例教習と大型一種免許の取得費用の合計は約59~78万円になる。相場が30万円程度の普通免許取得費用を合わせると、大型一種免許取得までに総費用は100万円前後にもなる。
自動車学校「茨木ドライビングスクール」(大阪府茨木市)の大倉重敏校長によると、同校の場合、法改正前、AT限定の普通免許所持者が大型一種免許を取得する場合の必要な講習数は26時限で、教習代は20数万円だったが、改正後、同条件での取得の場合、34時限の教習が必要になり、教習代は42万5350円に上がっている。
ちなみに、大型二種免許は38時限と大型一種より時限数が多く、教習代も57万9050円かかる。
近年の物価高の影響による教習費用の上昇も影響している。大阪府内のある自動車学校の担当者は、「物価高のため職員の給料を上げる必要から教習代も値上げしている」と話す。
法改正から2年半が経過しているが、受験資格特例教習の利用状況はどうだろうか。
茨木ドライビングスクールの大倉校長によると、受験資格特例教習の修了者が同校に入学した例はまだ1件とのこと。受験資格特例教習のみ実施している他の自動車学校の担当者は、年間の受講者数はまだ一桁にとどまっていると話した。
導入から2年半が経過したが、受験資格特例教習がどの程度普及しているのかはまだ不透明なようだ。
高騰している免許取得費を会社で立て替えることでドライバーの入社を後押ししている会社もある。
三重県のある運送会社は「主に2・3トンのドライバーが大型免許を取得してキャリアアップするのをサポートするため免許取得費用を立て替えている。昼間は構内のリフト作業などできることをしてもらい、夜間に自動車学校に通ってもらい、その間はドライバーの6割の給料を支給している。ただ、1年以内に退職する場合は、立て替えた費用を返してもらう」と話した。
大阪府のある運送会社は「『異業種からトラックドライバーになりたい』という人のために、会社で免許取得費用を立て替え、合宿に行っている間の日当を支払っている。実際に元ピザ屋やスポーツインストラクターがこの制度を利用して入社した。その後、弊社を辞めて他社に行っても、業界にドライバーが増えるのならそれでいい。戻ってきてくれる期待も込めて『他社を見ておいで』と送り出している」と話す。
60歳代の運送会社社長は、「40年前、普通免許で17~8万円、大型はそれに7~8万プラス。けん引は飛び込みで1回6~7000円。3回で取った」と話す。大型取得に24~26万円。現在の4分の1程度で済んでいた。
国全体で免許取得費用について考えてもらいたいものだ。(1月20日号)