電話でのお問い合わせは072-882-6258
〒571-0079 大阪府門真市野里町31-15
年間50件の事故がほぼゼロに 埼玉県・ホレスト(2025/02/23)
事故撲滅トレーナーの3年間の取り組み
㈱ホレスト(林利浩社長、埼玉県入間市)は建築資材・鋼材・機械の運搬や据え付けなどを展開。車両は110台保有する。同社の井上亮営業次長は事故撲滅トレーナーとして様々な取り組みを行っている。2022年頃の同社は、軽微な事故が年間50件以上起き、静観出来ない状況にあった。林社長の提案で井上営業次長を筆頭に、全社を挙げて事故を未然に防ぐプロジェクトが発足した。
それまでは事故後の対応が多く、事故報告書に沿って指導するという形だったが、同じドライバーが同じ事故を繰り返すケースが散見されていたことから、従来の指導が効果を挙げられていないと気付いた。
理論で説明する方法ではなく、ドライバーの行動を変える意識改革に注力。大半のドライバーは事故防止活動には他人事で、いかに自分事として捉えてもらえるかが難しかった。
それにはまず管理者側の意識変革も必要と、管理者もドライバーと一体となって、事故撲滅に取り組んでいった。
井上氏は、「ドライバーは朝の点呼が終われば一人で出庫し、戻るまで一人で業務を行う。そこで事故が起きれば、ドライバー一人の責任なのかと言うとそれは違う。管理者も一体となって責任を感じなければならない」と説明する。
2022年のコロナ禍に一連の取り組みが始まったが、全体で集まる集団会議は行いづらく、SNSを使ってはみたが、それだけでは難しかった。そこで昼礼を始めてみた。
本社営業所とドライバーのいる車庫が少し離れた場所にあったが、週に1回、林社長と井上氏が足を運び、そこでドライバーと対話を重ね、
お互いの現在の状況を共有し、事故対策の取り組みについて話し合いを行った。
さらに個別に5人ずつ呼び、ドライブレコーダーの事故映像を見せてKYT(危険予知訓練)を話し合ったりする研修を何度も繰り返した。ドラレコの事故映像は、事故防止プログラム教材などから提供されたものだ。
このドラレコ映像研修は翌月くらいからすぐに結果が出始めた。井上氏は、「ドラレコ映像でヒヤリハットやKYTを学んだ効果ももちろんあるが、会社全体で事故を未然に防ぐ、安全に対し向き合っている、という本気度がドライバーにも伝わったのだと思う」と話す。
井上氏は、事故を起こしていないベテランドライバーへの指導が一番難しかったという。事故事例を見せても、「いや、自分はそんな事しないし」と他人事だった。しかし、そういうドライバーのこれまで培ってきた経験やスキルを引き出し、新人に教えるなどしてとにかく協力してもらいたかったのだ。
そこで班制度を取り入れた。同じ車種同士で6~7人で1班とした。事故を起こした当事者とその班員で、事故の振り返りやKYTを話し合ってもらう。どんな危険があったのか、それに対する防止対策、今後どのようにしていくかという目標設定までを自主的に取り組むようにした。そのような地道な取り組みの結果、事故がほぼゼロになった。
同社ではホームページに「事故から学ぼう。事故事例報告書」を公開している。それについて井上氏は、「運送会社は事故が付き物。しかし、そこから目を背けずに対策を立てて日々更新している。結果ではなく、その経過こそをお客様にも見てもらいたい」と話す。
また、「事故は会社の信用問題に発展する恐ろしいもの。被害者や相手先にも申し訳ないが、自社のドライバーを守りたいし、守ってあげたい。それを毎回気持ちを込めて伝え続ければ、ドライバーの行動も変わっていく。これからも『A:当たり前のことを、B:馬鹿にしないで、C:ちゃんとやる』の行動方針にのっとって、事故撲滅に取り組んでいきます」と話す。(2月17日号)
【写真】新車納車時に無事故を祈願する社員