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モデル出身の女性社長 運送会社引き継ぎ5年(2025/03/09)


ミワヨシ・尾野藤(おのとう)社長

「まさか自分が会社を継ぐことになるとは思ってもいませんでした」。尾野藤眞奈美社長が5年前、㈱ミワヨシ(兵庫県神戸市、創業2001年)の経営を引き継いだ時の率直な思いだ。
 輸出入コンテナ輸送を手がける同社を創業したのは、父である先代社長。娘の尾野藤氏は、18歳からモデルとして活動を始め、東京で活躍するようになっていたが、会社の経営が厳しくなり、肺気腫を患った父の入退院が続く中、2018年にパートとして入社し、給与計算や請求書作成を手伝っていた。
 その翌年に父が急逝。会社を背負うことになった。モデル出身の運送会社社長という異色のキャリアが始まる。
 「引き継いだ当初は右も左も分からず、電話対応すら不安で、机に『はい。ミワヨシです。お世話になります』と書いたメモを貼っていました」と振り返る。社員との接し方に悩むことも多く、時には距離感を誤り、厳しく言うべきところを言えなかったという。
 しかし、会社を利益体質に変えていくための改革は待ったなしだった。車両ごとの燃費を見直し、利益が見込めない長距離輸送を整理。新たな取引先を開拓し、運送会社からの受注中心だった体制から、乙仲業者との直接取引にシフトさせた。 
「取引先3社が倒産し、損失が出たこともあり、一社への依存を防ぐため、できるだけ取引先を分散する方針もとっています」
 こうして、売上は引き継ぎ当初の約3億円から2億7000万円へと一時的に減少したものの、経費削減により利益率は向上し、車両の入れ替えやドライバーの給与改善が視野に入ってきた。
さらに尾野藤社長は、運送業だけにとどまらず、2021年には障がい者の就労支援を目的としたA型事業所「スマイル工場」を設立。2023年にはB型事業所「スマイルボム」も立ち上げ、ドライフルーツの製造・販売やホテル向けのフルーツカット事業を展開している。
 今年2月には、視覚障がい者による鍼灸院もスタート。大型車の運転が難しくなった高齢ドライバーの新たな働き口の一つにもなれば、という思いもあるという。
 尾野藤社長は「父が築いた会社を守るだけでなく、新しい形で発展させていきたい」と力強く話す。(3月3日号)

【写真】トラックの前に立つ尾野藤社長