電話でのお問い合わせは072-882-6258
〒571-0079 大阪府門真市野里町31-15
年間800万の黒字見込みに コンサル会社がM&Aした運送会社(2025/03/26)
運送業専門コンサル会社・㈱ティーラック(石川亮社長、大阪市)は昨年8月15日付で後継者が不在だった運送会社・㈱ケイエスシー物流(大阪府摂津(せっつ)市)をM&Aで買い取った。買収から半年以上経過したが、事業は軌道に乗っている。
ケイエスシー物流は、コピー用紙、トナーをメインにルート配送している。従業員17名、トラック15台、軽バン3台を保有。前社長は、後継者がおらず会社をどうするか悩んでいたが、以前から仕事上で付き合いのあるティーラックの石川社長に相談したところ、「僕にやらせてください」と後継ぎを申し出て、M&Aが決まった。
石川氏はコンサルの立場から運送会社に経営のアドバイスをしているが、事業者との感覚のズレを感じることがあり、経営を実践してみたいという思いは以前からあった。
M&A後、最初に手を付けたのは収支の改善だった。収支はトントンの状況だったが、さらに改善できると洗い直していった。
まず、燃料代から手をつけたが、前社長と個人的なつながりのあるガソリンスタンドから割安な燃料が利用できる協同組合に加入し、給油のスタイルを変更。また、前社長がリースで乗っていた会社名義の乗用車は本人に買い取ってもらった。
仕事にも手を付け、全台数のうち2台が毎月赤字だった。労働時間が長く、燃料代もかかっていた。情報収集して、どの仕事ならやれるかシミュレーションし、利益が残る仕事に変えた。
仕事を変える過程では配送日が異なることから従業員から不満が出たが、結果的に辞める人はいなかった。他、生命保険の解約など行い、その結果、年間800万の黒字が出る見込みとなった。
前社長は昨年1月にリタイアする話を従業員を前に話したが、石川氏は事業の引継ぎを決めた後、一昨年8月頃から会社に顔を出していたこともあり、従業員とはコミュニケーションが取れていた。
また、前社長は週2回ペースで会社に顔を出していることもあり、スムーズに事業は進んでいる。
石川氏は、「今後は資金力を上げていきたい。会社に資金を持たせ最終的に無借金経営を目指したい。運転資金の借り入れを返済し、無借金でやっていけたら利息を払う必要がなくなる。今の状況ではあと4~5年で借入が終わる」と話す。
ティーラックからは毎日、石川氏か平野隆司部長が会社に出ている。
石川氏は、「今は借地で事業展開しているが、近いうちに土地を購入して移転したい。やるからには会社を成長させていきたい。今のところ瞬間、瞬間はしんどいが、楽しみながらやっていけている」と話していた。(3月17日号)
【写真】ケイエスシー物流事務所