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新聞折り込み広告減少の中で新規事業(2025/03/30)
サンケイ城北サービス
社員のアイデアからキッチンカー事業立ち上げ
新聞と折り込み広告の運送・倉庫業を展開するサンケイ城北(じょうほく)サービス㈱(柘植(つげ)茂社長、東大阪市、1982年設立)は、令和5年春から、新事業としてキッチンカーによる移動販売をスタートさせている。
コロナ禍の前あたりから新聞需要が落ち込むようになり、それに伴って折り込み広告も減少傾向であるため、これに代わる新規事業を模索してきた。
令和4年からは、紙に携わってきた経験を生かし、板紙(ばんし)の保管・輸送、加工を始めて順調に稼働させているものの、紙関連だけでは今後に不安が残ることから、さらなる新事業のアイデアを全社員から募ったところ30件ほど集まり、その中から3件に着手。一つ目はカブトムシのブリーダー事業、二つ目は山椒(さんしょう)の栽培業。これらは軌道に乗らず撤退し、現在は三つ目。このキッチンカー事業に注力している。
ドライバーから事務職に転じていた女性社員が、事業立ち上げに手をあげたことから始まった。その女性社員、柘植社長、男性の樋口氏の3人でプロジェクトチームを結成。立ち上げ資金を工面するため、事業再構築補助金に応募したところ一発で採択されたことが弾みになり、車両4台を購入した。
作業行程が複雑でなく個性が出しやすく、現在のブームに乗ることも期待できることから、最初の食材に「おにぎり」を選んだ。「キッチンみのりごろ」のブランド名で販売を開始し、商品の幅をカレー、弁当、スイーツなどに広げている。
キッチンカー事業では、食品会社などから商品の市場調査の依頼を受けることもできる。同社は広告代理店である城北宣広㈱を親会社に持ち、その分野のノウハウが生かせるという。
樋口氏は、「移動販売でクライアントから預かった商品を試食してもらったり、アンケートを回収するなどして需要がどれほどあるかを確かめ、好感触が得られれば、その周辺が有力な出店候補地だとクライアントに示せる。大手広告代理店に比べれば、かなりコストを抑えて提供できる」と自信を見せる。
事業開始から2年、店を切り盛りする登録スタッフ10数名の経験値も上がり、さまざまな試行錯誤の中から、進むべきよりよい道筋も見えてきた。
例えば出店の曜日について。柘植社長は、東京で平日のランチ時間帯にキッチンカーに大勢の人が並ぶ様子を見ていたため、平日の出店も行ってきた。ただ、時間を惜しむ大阪人は列ができていると並ばない傾向があると分かった。
そのため現在は、土日祝日に開催される大規模イベントへの出店を優先する方針に変更。うまくいけば平日の10倍の売上が狙える。集客のピークをとらえて、スタッフ6名体制の5~6時間の出店で40~50万円を売り上げるという成功体験も積めた。
柘植社長は「今後、地方での知名度は高いが全国展開していないような食品会社や飲食店との連携もしていきたい。2年間、経験してきたことを生かして軌道に乗せていく」と力強く話す。(3月17日号)
【写真】キッチンカーの前に立つ柘植社長