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55年の時を経て 再び「万博」運ぶ 万福運送(2025/06/04)
祖父から孫へ受け継がれ
現在、大阪で大阪・関西万国博覧会が開催(2025年4月13日~2025年10月13日)されているが、55年前に日本で初めて開催された大阪万博の会場に荷物を運び込み、今回の万博でも同じ荷物を運び込んだ運送会社がある。大阪市にある万福(まんぷく)運送㈱(万福一成社長)だ。
万福運送(当時は万福運送店)は終戦(昭和20年)後、まもなく万福栄美子取締役のお父さん・万福重一さんが三輪トラック1台で始めた会社だ。
大正15年生まれの重一さんは、昭和天皇が太平洋戦争の終結を国民に伝えた玉音放送を聞いた後に赤紙(召集令状)が届き、訓練だけうけて、戦地に行くことはなかった。
同社は、1961年(昭和36年)に法人化し、万福運送㈱になったが、その当時、配電盤(キュービクル)を専属で運んでいた。高度経済成長期と重なり、需要は多く、多忙な日々を送っており、取締役のお母さんもバイクで荷物を運ぶほどの忙しさだったようだ。
平ボディーのトラックに荷物を積んで全国を走っていたが、道路はまだ舗装されておらず砂利道が多くあった。当時は、造船業が盛んで、室蘭、尾道、佐世保など日本中の造船所に配電盤を配送していた。
そして、設立から9年目となる1970年(昭和45年)に大阪万博が開催されることになったが、開幕前に配電盤を万博会場に運び込んでいったのだった。
万福取締役は、短大を卒業し、会社を手伝う中で、結婚し、万福取締役の息子さん(現社長、一成さん)が平成8年(1996年)に誕生した。現在29歳。2020年(令和2年)に万福運送に入社し、2年後に代表に就いた。
今はドライバーとして現場を見ながら、会社をまとめていっている。そして、一成社長が社長になって3年目となる今年1月、奇しくも大阪・関西万博の会場へ荷物を納品する機会に恵まれた。
万福取締役は、大阪万博のときは幼稚園児。お母さんに連れられて万博に行ったが、ほとんど記憶に残っていないという。「前回の万博から半世紀以上経つが、皆さまに支えてもらって父の築いた会社を継続でき、とても感慨深いものがあります。今後は更に会社を発展させられるよう頑張っていきます」と込み上げるものを抑えながら話した。
万福社長は、「前の万博についてはまったく知らないが、万博に欠かせないものを再び運ぶことができ、光栄です。祖父の作った会社を汚すことなく運営していきたい」と話し、また、大阪・関西万博については、「物流が新しくなっていく中で今回の万博でドローンなどの技術をぜひ見てみたい」と目を輝かせていた。(6月2日号)
【写真】万福社長(左)と万福取締役