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3か月点検未実施盾に保証せず 新車のオイル漏れトラブル(2025/06/18)


ディーラーの説明に疑問持つ運送会社

 大阪府の運送会社A社はB社のトラックをC社のリース契約で使用している。今年2月25日、神戸と大阪で荷積み作業を終えた後、SSでオイル交換を実施し、関東方面へ向け出発した。車両はまだ1年も発っていない新車。ところが伊勢湾岸道の豊明JCT付近でエア警告ランプが点灯し、ドライバーは刈谷ICで停車。やがてオイルランプも点灯し、エンジン下部からのオイル漏れを確認した。

 A社はB社に連絡。修理の必要があるとの説明を受け、車両は最寄りの愛知県内のB社営業所へ搬送された。翌日、現地入りしたA社社長は、エンジン下部分に穴が開いているとの報告を受けた。
 その後、B社から「オイル交換の履歴が欲しい」と連絡があり、点検整備記録簿をFAXで送信。A社は、車両の定期点検が6か月点検と9か月点検を行っていたが、3か月目の点検を行っていなかった。B社にそのことを報告すると、「保証は受けられない」と告げられた。
 3月13日、A社はC社の担当者を介してB社に再度確認を求めると、「原因ははっきりしている。6か月点検まで7万5000㎞に及んでオイル交換をやっていなかったこと。2月25日以前からエンジンが焼きついており、鉄粉が中に入りエンジンが故障した」と告げられた。

 A社はB社担当者に直接連絡し、症状や焼き付きの有無について確認したところ、「ほぼ間違いない。オイルが回って穴が開いて焼き付いている。エンジンの乗せ換えしかない」と回答を受けた。しかし、調査自体はしていないといい、文書による回答を要請すると「時間が必要」と返答された。
 4月1日、A社社長は再び愛知県内のB社営業所へ。そこでは、「エンジンの分解調査は行っていない。おそらく焼き付いていない。エンジンが故障しているのではなく、コンプレッサーの割れた欠片がエンジン内部に侵入している可能性がある」と説明を受けた。B社とC社の担当者が言っていたことと食い違いが出た。
 同日午後、A社社長はC社本社へ向かい、代表取締役と本部長の2名と話す。エンジントラブルの要因がオイル交換の遅延ではなく、エアコンプレッサーの不具合による可能性が高いことを伝え、メンテナンス契約に基づく修理責任がC社にあるという見解を伝えた。
 4月10日、C社本部長より、B社から説明する意向が伝えられ、A社は文書による正式回答を要望。後日、B社より提出された調査資料がA社に届いたが、その内容はオイル交換の不備によるエンジン故障に関する説明にとどまり、A社が原因解明を求めていたエアコンプレッサーの破損については一切言及がなかった。

 A社社長は、「自社の過失であれば、補償無しで自社の負担とすることも素直に受け入れた。エアコンプレッサーの故障ではなく、エンジンの故障だと頑なに主張するB社とC社へ疑問を感じている。しかし、このことを検証するには多大な時間とコストが掛かってしまう。
 また、車両の修理についても課題がある。新品のエンジンに載せ替えとなると大きなコストが掛かる。リビルト品(オーバーホールを実施した中古部品)のエンジンであればコストを大幅に抑えることができるが、その場合、元のエンジンはメーカーに返却しなければならない」と話し、最終的にA社は、自社の点検不備が原因であると認める形で、この件は幕を下ろすこととなった。
 法的なトラブルに詳しい専門家は「この件はメーカーのリコール案件の可能性が高いが、原因が特定されない限り違法性を立証することは困難。証拠集めは弁護士の仕事ではないので、裁判になったら自分で証拠を集めないといけない。方法としては同業他社のメーカーにエンジンの調査を依頼する等が考えられる」と話す。(6月16日号)

【写真】ディーラーから送られてきたエンジントラブルついての回答文書