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無人フォークリフトの実力は? 導入した倉庫会社で聞く(2025/09/03)
敷かれた磁気棒に沿って走行
安全性に優れるが段積み不可など課題も
無人フォークリフトというものがある。物流の現場では大手の会社で導入しているところがあるが、実際、目にすることはほとんどない。実際、どういうものなのか。伏見倉庫㈱(山本章雄社長、京都市)は主に米の保管・物流を担う倉庫業を営んでいるが、同社は国の補助金事業を活用し、2024年1月に無人フォークリフトを導入した。
導入したのはリーチ式(立って作業を行う)のモデル。複数のセンサーを搭載し、一定のルートを自動走行する。倉庫の床には、磁気棒が埋め込まれており、フォークリフトはそれに沿って走行する。
操作は専用の操作盤を用いて行い、そこで設定された動作を自動で行う。ドローンのように操作をしなくても自律的に動くようなことはない。人が操作盤で指示を出し、敷かれた磁気棒に沿って動く。充電はバッテリー式で、太陽光で発電した電力を活用する。
車両本体とシステム構築を含めた導入初期費用としては、およそ3000万円を要したが、その半額を補助金により賄うことができた。ランニングコストについては、通常のフォークリフトと大差ないという。
現在、同社ではパレットに積み込まれた荷物をA地点からB地点まで運ぶといった運用を行っている。具体的には、磁気棒に沿って、荷下ろしされた荷物を無人フォークリフトが取りに行く。そこから、倉庫一階のエレベーターへ荷物を運ぶ。無人フォークリフトが行えるのはこの動作の繰り返しで、一度の操作で最大12回、パレットを運ぶことができる。
倉庫一階のエレベーターへ運ばれたパレットは二階に上げられるが、二階に上げられたパレットは、人がフォークリフトを運転して動かさなければならない。つまり、二階でも自動化するためには、もう一台の自動フォークリフトと動かすための設備が必要となってくる。
山本社長によると、導入によって得られる最大のメリットは『安全性の向上』と話す。無人機であるため、急発進・急ブレーキ・急旋回といった突発的な操作がない。他のフォークリフトに乗る作業員も、それに合わせて安全な運転を行うようになったという。
一方で、課題もある。センサーやシステムにエラーが発生した際には運転が停止してしまうほか、安全性と引き換えとはいえ、作業速度は有人機と比べて遅い。さらに、無人機では荷物を積み重ねて置く段積みができないということだ。
山本社長は、「自動フォークは平面の移動が多く、同じ動作を繰り返す工場での運用には向いているかもしれないが、様々な荷物を扱う物流の分野においては、まだまだ開発途上の段階」とコメントしている。(9月1日号)
【写真】無人で動く自動フォークリフト