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新聞と学校給食を混載 365日24時間稼働活かし、新事業(2025/10/26)


永尾運送

減っていく新聞の空きスペース活用

 ㈱永尾運送(永尾弘社長、大阪府摂津市)は昭和32年に創業し、昭和47年に設立。2トン車をメインにトラック50台保有し、新聞輸送を行っている。ネットメディアの普及などにより近年、新聞の発行部数は減っており、同社の業績にも影響を与えている。しかし、同社では、365日24時間稼働の新聞配送網を活用し、荷物の減少を共同配送で補い、業績を回復させている。

 共同配送を行う大きな転機となったのは2019年。新聞の広告主である日本マクドナルドから新聞社に物流効率化に向けて取り組みの話が来た。同社は物流改革に力を入れていたが、新聞と塩を一緒に運べないかと提案があった。
 新聞輸送のトラックで、ポテトの調理などに使う塩を引き取ってマクドナルドの倉庫に納品するというものだったが、永尾運送は提案を受けた。
新聞輸送は平ボディー車が中心だったが、その取り組みを機に2㌧箱車を導入。新聞と塩の共同配送をスタートさせた。先に塩を大阪市の卸業者の倉庫で積んで荷台の前に載せ、次に新聞工場で夕刊紙を同じ2㌧箱車の荷台の後ろに載せて運ぶという、初めての取り組みだ。
 先に新聞販売店を回って新聞を下ろし、そのルート上にある神戸市のマクドナルドの物流センターに塩を下ろしていった。
 もともと日本マクドナルドでは4㌧車で食塩輸送を行っていたが、永尾運送の2㌧車の空きスペースを活用することで、4㌧車はなくした。この新聞と食塩を共同配送する取り組みは異業種同士の連携の先進的な取り組みとして、平成元年に「物流総合効率化法に基づく計画」としては国土交通省などから認定を受けている。

 塩の輸送には週に平均3台が動いていたが、今年の5月で終了した。
夕刊は部数が年々減少しており、積載量は、余裕をもった輸送が可能な状況になっていた。新聞輸送は365日動いている。
 永尾運送では新聞配送という環状線のように同じルートを定時で走っている特徴を活かし、他の荷物ともコラボできないかと模索。塩と夕刊の共同配送のスキームを活かし、様々な取り組みを行う。
 その一つが、物流面で困っていた大阪府の学校給食の分野に働きかけ、新聞社の了解を得て、夕刊紙と食材の共同配送を令和3年からスタートさせている。
新聞輸送は、大阪北摂エリア(大阪北部)でも行っているが、この地域で自前で給食調理施設を構え、給食を作っている小学校に向けて食材を混載し運んでいる。食材は缶詰、調味液など常温で運べるもの。
 現在、2市1町の83校の小学校に運搬しており、翌月に使用する分を月末に運んでいる。塩と同じように先に給食の材料を物流センターで積んで、夕刊紙を印刷工場で積み込み、新聞を運び終わった後、学校へ行って食材を納品している。

 同社では、新聞以外に雑誌も扱っているが、もともと新聞と雑誌は別々に運んでいた。新聞と雑誌の共同輸送を新聞社に提案し、現在、JR系の駅の売店に新聞と雑誌の共同輸送も行うようになった。
 永尾社長は、「新聞輸送は、365日24時間稼働しており、環状線のように安定運行している。その運行計画にお客さんが荷物を載せるという形が目指すところ。お客さんからすればわざわざトラックを仕立てる必要がない。新聞輸送のコースを維持できれば、混載で定期のスキマを埋めることができる。必要なときに必要な量を運び、様々なお客さんのニーズに応えていきたい。間違いないのは荷物があること。手応えを感じている」と話している。(10月20日号)

【写真】新聞と給食の材料を混載した荷台