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『積み替えいいね!』で躍進 北海道・シープラス(2025/10/29)
関東からフェリーで送り北海道で個配
トレーラー駆使 し無人航行も
㈱Seaplus(シープラス、高山和美・野澤正紀社長、本社・北海道恵庭市)は従業員数14名、保有台数13台の運送会社だ。茨城県潮来市(いたこし)に関東支店を置き、関東圏の荷物をフェリーで北海道苫小牧港に送り、そこからトラックで輸送する。大手が運べない荷物、急きょ、あふれた荷物を扱うが、同社はレスポンスが良く当日の依頼でも、関東圏内で20台が集荷にあたる。
関東支店では毎日大型10トン車、4トン車、トレーラーが荷物を混載し、北海道恵庭市の本社に持ち込まれる。そこで夜中に全部の荷物を仕分けし、朝に4トンや大型に積み替えられ、道内に個配される。
今は2024年問題があるから、例えば大型1台でも、関東から北海道に来るとなると最低でも23~24万円の運賃が相場だ。ところがお客さんからパレット物だからと20万円しか出ないこともある。そういった時に同社は、トレーラーで混載し20万円で請け負う。
トレーラーの場合、13mシャーシのうち3m余る場合があり、その3mに違う荷物を積み合わせる。だからトレーラーをフェリーで流しても(フェリーに載せても)、それでも運賃アップになる。
料金面でお客さんの要望に応える一方で、荷物を積み替えたり、荷物を一回下ろして積み直したりする。
同社は今年で7年目になるが、髙山社長は、「初めの頃はそういう積み替えがダメだと言うお客さんが多かった。『積み替えるって何?』『何でそんな勝手な事するの?』みたいな。だけど台風の時は船が出なかったり、汽車が脱線してコンテナが止まり青森―函館間を走るしかなかったりする。
そういった時はどうしても積み替えなければいけない。そういう時に、『積み替えていいならうちが行きますよ』となった。その後は、うちに頼むなら積み替えることが前提になった」と話す。
例外もあり、例えば精密機器などだ。その場合は自車の大型車や4トン車に積んで無人で流す。茨城県の大洗ターミナルから流すが、同社のスタッフがトラックを走らせ海上では無人。それで、苫小牧で本社の人間が無人トラックを迎えに行く。
どんな荷物でも対応できるようにリフトも2トン半と3トン半を、両方の拠点で3台ずつ用意している。
積み替えは、従業員同士が写メを撮って情報の共有をしている。関東で積む時は、ここからここまではどこどこの荷物、ここからここまではどこどこの荷物とか積み間違いのないように情報を流し、ここからラッシングかけて、ここからリフトで取って下さいよ、危ないからなど作業面の細かい情報も共有する。
お客さんに対しても、積み替えた時の写メを撮って送っている。このように積み替えて配送しましたよ、というふうに。輸送中も両方向からカメラを付けているので、もし荷物に傷が付いているといったクレームがあった場合、全ての動画を見てもらい責任の所在がどこにあるのかの証明にもなる。
それでお客さんから信用を得ている。そういった工夫と努力で「積み替えもいいね」と、少しずつお客さんを増やしていっている。
高山社長は、「弊社は普通の運送会社とは仕事のやり方が違う。運賃も上げてもらえれば嬉しいが、なかなか現実そう上手くはいかない。物価も上がっていて燃料代も上がって経費がかさんでいる。混載で積み替えて、手数も増えるし難しい作業もある。そんな中、知恵と工夫で稼ぎ、スタッフに給料を払っている」と話す。
荷受け体制は24時間だ。苫小牧港に船が着くのが夜の8時や10時。恵庭市の本社に着くのが夜12時。そこから積み替えて朝4時にトラックが積みに来る。荷主さんが着時間を朝8時、9時に設定しているので、それに間に合わせるようにする。夜中や朝方の作業は髙山社長が行う。
高山社長は道東の漁業が盛んな地域で生まれた。保育園~小学校時代に父親がトラック乗りだった。いわゆるデコトラがその辺りを多く走っていた。幼少期にその光景を見て、トラックのかっこ良さに魅了され、将来は絶対にトラック乗りになると決めたという。
18歳で免許を取るとすぐに運送会社へ就職。23歳で大型免許を取得。北海道から鹿児島まで野菜を積んで走っていた。大手の運送会社だったが、トラックを改造したかった髙山社長は会社から許可をもらえず、こうなったら自分で会社をおこすしかないと独立を決意。
大きいトラックは買えないので軽トラックから始め、アマゾンや佐川急便の下請けで1日100戸の個配をした。
その頃夜に積み替えの作業を手伝う事があり、この道でやっていこうと、令和元年7月に独立して今の会社を立ち上げた。当時はトラックを持たずに、倉庫だけで積み替え作業をしていた。
しかし、北海道では冬場雪がひどい時トラックが来なかったりする。そういう時に、自車のトラックがあれば走れるのにとジレンマを抱えていた。そこで茨城県と北海道に少しずつトラックを入れて対応出来るようにしていった。
今後について髙山社長は、「他がダメでもシープラスに頼めば何とかなると頼られる存在になりたい。運送会社と荷主の間をうまく橋渡し出来るようになっていければいい。一つ一つの会社に元気が無ければ助け合うことができないので、皆で北海道を盛り上げていきたい。それについては、荷主さんへの働きかけもこちらから発信しなければと思っている」と話す。(10月20日号)
【写真】高山社長