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「3時間以上の休憩は休息に」  全ト協・労働安全衛生委員の山本氏  田中大臣官房に長時間労働是正の要望書(2019/02/04)


現在、拘束時間削減の観点から、「休憩」より「休息」を重要視する運送会社が増えている。しかし、8時間連続や合計して10時間以上など一定の条件がある。全日本トラック協会の労働安全衛生委員会の委員である三重県トラック協会の山本貞夫社長副会長(=三栄運輸㈱、三重県伊賀市)は、先月、田中誠二大臣官房審議官(労働条件政策担当)に「働き方改革 長時間労働の是正の件」と題した要望書を提出した。山本氏は「3時間以上の仮眠は休息にして頂きたい。ベッドで3時間寝たら休憩じゃなく、休息にして頂きたい」と訴えている。

働き方改革には大いに賛成

山本社長は、要望書で、「19777年からトラックの運転手を始めたが、70年、80年、90年代と日本はイケイケどんどんの時代で、毎日の睡眠は4時間出来たかなといった具合で、労働時間は制限なしの日々だった。子供の学校の参観日などには行ったことはなく、世の中の全産業、業種ではこのような光景ではなかったか」と働くことが優先の時代であったことについて記述。
余暇については、「それこそそんなことを言える状況ではなかった時代。休日は寝ているだけ。子供には『お父さんは仕事がいっぱいでごめんね』と伝えるだけ」と述懐。
しかし、「今、私は社員を抱える身となったが、『俺がやってきたからお前たちも同じことをしろ』とは絶対言えない。いや、言いたくない。子供、家族にひもじいみじめな思いをさせることは経験上、させたくない。働き方改革には大いに賛成」と働き方改革には異論はないと強調している。
 
30分の仮眠で夜の3~4時間に匹敵

三栄運輸では長距離輸送を行っているが、要望書では、「現在、長距離便においては傭車にお願いしてもその会社もコンプライアンス面で無理がある状況。特積路線便は集配、運行、配達に3つにセパレートされ、それぞれの時間軸で動けるが、我々の一般貸切貨物会社は荷物は積み込みから届けるまで行うのが絶対基本」と説明。
「三栄運輸でも中継貨物輸送を考えたが、積み替えにかかる人的物理的費用と時間などから難しいのが実情。現行行っている運送会社では乗務員の退職が増えているのが現実である」と指摘している。
その上で、「長距離組は、待機、荷待ち時に仮眠が取れる。乗務員はうまく取り入れ休息している。特にお昼の時間帯の仮眠は効果が大きく、30分の仮眠で夜の3~4時間に匹敵するぐらいの効果があることが証明されている。3時間以上の仮眠について、休息に換算していただければ業界としては実にありがたい」と訴える。
長時間労働については荷主の問題点も指摘する。  
「下請け企業の得意先は難問が多く、製造工場が時間に追われている。夕方遅くに荷物が仕上がり翌朝に届けられる。そしてその荷物をその日から加工して翌日あるいは翌々日に出荷するという運びでそのほとんどが連鎖している」と指摘し、その一連の流れに運送会社が巻き込まれているとした。

業界はコンプラで身動き取れない

「大半はお客さんのところと関係している。荷待ち積み込み待機が無ければどれほど拘束時間が縮減できるか明らか。運送会社の労働問題の整備環境をするには、着荷主、発荷主にも整備していくべき。朝一着はいらない、昼一着でもいいところは多い。荷主企業にもメスを入れないと」と是正を訴えている。
山本社長は今回の要望書について、「近年、フェリーに乗船すれば乗船時間に関係なく、トラックはすべて休息扱いになるようになった。一般のトラックも
例えば、高速のパーキングエリア、サービスエリアでの短時間の休憩は休息に見なすなど、見直していただきたい。運送業界はコンプライアンス、コンプライアンスで身動きが取れず、ドライバーが辞めていっている」と訴えている。


【写真】「『コンプライアンス』でドライバーが辞めていっている」と懸念を示す全ト協の山本委員