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「対物免責」でトラブル  免責の滞納で保険金が支払われない状態に(2022/10/02)


「悪質な運送会社だ」と憤る修理業者



 自動車保険には「免責」という制度がある。損害が発生しても保険会社が保険金を支払う責任を免れることを意味する。例えば、事故で40万円の修理費用が発生し、「免責金額」が5万円だった場合、5万円は保険加入者の自己負担となり、残りの35万円が保険会社から保険金として支払われる。保険加入者は免責金額を高く設定すれば、毎月の保険料を低く設定できる。車両保険に免責を設定することが一般的であるが、「対物免責」というものも存在する。


 ある自動車整備業者から次のような話を聞いた。
4月後半、顧客である運送会社から一本の電話が入った。
朝、出勤したら営業車(ハイエース)のスライドドアが凹んでいた。仕事にならないので至急修理してほしいという依頼で、代車を手配して、事故車両を引き上げた。
営業車は、24時間大型トラックが出入りする場所にいたが、当てた運送会社から『そちらのハイエースに接触してしまった。改めて保険会社から連絡させる』と連絡が入った。 
修理はGWも重なり、少々日数がかかったが、5月下旬に完了。修理金額は46万円だった。
 運送会社の社長は、修理が済んだからと、相手方との示談を進めることにし、その翌週に、46万円の修理費用を保険会社に請求した。ところが6月に入っても、7月になっても入金がない。通常、示談をすれば、1週間くらいで入金があるのが一般的だ。
 8月に入り相手方の保険会社に問い合わせたところ、「保険の契約者は対物免責20万円の契約を結んでいる。それが入金されるまで、我々は(差額分の)保険金をお支払いでない」との返答だった。


 ハイエースに接触した運送会社は、前述の「対物免責」という保険に入っていた。免責金額は20万円。事故を起こした運送会社は保険会社に免責分の20万円を支払わなければ、保険会社から保険金が支払われないということになる。
 相手方の運送会社は、46万円の修理代を全額負担する責任を免れるため、20万円を支払わなければならないが、それを3か月も滞納している。
 自動車整備業者が被害者側の運送会社の社長に事情を説明したところ、「何を言っているのかさっぱりわからない。相手方の運送会社が保険に入っているのに、それが使えないというのなら、無保険と同じではないか。その運送会社はもちろん、保険会社の対応も良い加減だ。20万円の免責を保険会社が立て替えて、修理工場に修理代を入金して、あとは自分の契約者から回収すれば済むはなしではないか」と怒っていた。
自動車整備業者は、「事故を起こしたのに3か月も免責の支払いを遅らせるというのは、会社としてどうなのか。20万円が用意できないのか。何か納得いかない点があって支払いを拒んでいるのか。まったく悪質な運送会社だ」と憤り、その運送会社からはいまだに何の説明もないという。


 保険代理店㈱よし(奈良県)の吉野公浩社長は、「ごくまれにだが、免責が支払われないことで修理ができなかったり、保険金の支払いが遅れたりすることはある。契約者の代わりに保険会社や代理店が免責分を建て替えれば良いじゃないかと言われることもあるが、保険料の建て替え行為は法律により禁止されている(保険業法第300条第1項第5号「保険料建て替えの禁止」)。保険料が支払われない場合、修理代などのやりとりは、保険の契約者(加害者側)と修理工場との直接交渉になってしまう。我々保険業者は、契約者を説得して免責を払ってもらうしかない」と話す