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女性ドライバーが手柄  トラックで道ふさぎ犯人逮捕に貢献(2023/10/01)


 空き巣犯の逮捕に貢献したとして、埼玉県警熊谷署は8月9日、トラック運転手の亀井法子さん(57)ら4人に感謝状を贈呈した。 
 6月27日に熊谷市内の住宅で空き巣事件が発生し、近くに住む看護師の女性が住宅に侵入している3人組を発見して110番通報した。
 警察官が現場に駆けつけたところ、3人組は乗用車で逃走を図ったが、偶然、雑貨の配送で現場付近を通りかかっていたトラックドライバーの亀井さんが、走ってくる乗用車とそれを追いかける警察官を見て異変を察知。トラックを止めて逃走経路をふさぎ、それが犯人逮捕につながった。
 逃走車は亀井さんの2tアルミバンのトラックに何度か衝突して突破を試みたが、亀井さんは衝撃に耐えながらトラックのブレーキを踏み続けた。その後、犯人は車から降りて走って逃げようとしたが、警察官や近くにいた住人に取り押さえられた。
空き巣犯の3人はいずれもベトナム国籍の若者で、現行犯逮捕された。
 亀井さんが勤務している運送会社の社長は、「亀井さんは3年ほど前から弊社の正社員として働いている。弊社に入る前も、中型トラックなどを運転しているベテランドライバー。警察や警備会社などに勤務していたことはなく、仕事ぶりはいたって真面目。スポーツが得意といった目立つタイプの社員でもない。亀井さんがこうした事件に巻き込まれるなど、想像もしていなかった。とにかく怪我もなく無事に済んで何よりだ」と話す。
 感謝状を贈呈した熊谷署の大久保昇署長は、「市民の皆さんの監視の目と正義感が逮捕につながった。勇気ある行動に感謝する」と功績をたたえた。
 犯罪が発生した時、警察官がすぐ近くにいるとは限らない。そのため、緊急を要する場合は一般の人が犯人を逮捕する、いわゆる「私人逮捕」が認められている。
しかし、この「私人逮捕」には、一定の逮捕条件があるという。
 弁護士紹介サイト「ベンナビ」にコラムを連載している、プラム綜合法律事務所(東京都)の梅澤康二弁護士は次のように説明する。
「『私人逮捕』の条件は、①現行犯、準現行犯であること、②軽度の犯罪の場合、犯人の住所・氏名が明らかでなく、犯人が逃走するおそれがあること。
①の現行犯での逮捕は、警察でも逮捕状が要らないなど、緊急性が高いため、一般の人による逮捕も認められているが、現行犯、準現行犯に当てはまらない限り、『私人逮捕』はできない。従って、明らかな犯罪で犯人がわかりきっている場合でも、現行犯でない限り、一般の人は犯人を逮捕できない。
②の軽犯罪、例えば、30万円以下の罰金・拘留・科料の罪に当たる場合(例えば、飲み屋でのケンカといった過失傷害罪、侮辱罪にあたるものなど)は、犯人の住所・氏名が明らかでなく、犯人が逃走するおそれがある場合に限り『私人逮捕』が認められている」
(10月2日号)

【写真】【写真】感謝状の贈呈式で。一番左が大久保署長、左から3番目が女性ドライバーの亀井さん