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「トラックの償却が追い付かない」 トラックの価格高騰(2024/03/07)
新車に中古ボディーの架装依頼も
トラックの価格が高騰している。ある運送会社の社長によると「大型の保冷車は1台2600万円、ドライでも1600万円くらいまで値上がりしている」と話す。5年前と比べ100~150万円は値上がりしており、中型トラック(4トン車)の価格は20年前の大型車並みになっているという。
日本自動車工業会や経済産業省などの統計資料を見ると、例えば、中型トラック(4tウィング)の価格は、10年前と比べて(1012万円から1114万円に)12・8%値上がりし、20年前(819万円)と比べ39・4%も値上がりしている。
運送会社の社長は「売上を上げるには増車も必要になるが、これほど新車価格が高騰すると増車した分、頑張って利益率の良い仕事を取るか、そうでなければ無理をして仕事を回さなければ、トラックの償却が追い付かず、赤字になってしまう」と危惧する。
メーカーやディーラーは値上がりの要因として、「物価高騰による部材・部品の値上がり」「人手不足による製造・販売現場の人件費高騰」「光熱費の値上がり」などを挙げている。
また、最近のトラックには「衝突・巻き込み事故防止」「居眠り運転防止」「故障の自動検知」「排ガス抑制」など、安全や環境に配慮した装置が多数装備されており、そうした装備品も価格を押し上げる要因になっているとされている。
ある大手ディーラーの営業担当者は、「トラックの製造・販売現場ではコストダウンを徹底しているが、物価高騰や人手不足の圧力は我々の我慢の限界を超えており、品質や安全性を維持するには値上げせざるを得ない」と訴える。
経済産業省がまとめた「生産動態統計」によると、トラックボディー(架装)の生産台数は2003年の約27万台をピークに減少を続け、ここ10年は5万台前後を横ばいで推移している。
一方でボディーの生産単価は年々上昇しており、現在は1台あたり100万円の大台を超えている。これは10年前(1台あたり約50万円)と比べ2倍、20年前(約20万円)と比べ5倍の単価だ。
ピーク時と比べ、ボディーの生産台数は8割も減少しているのに、その生産単価は5倍に跳ね上がっている。
兵庫県のトラック販売業者の社長は、「20年前に比べ、架装メーカーの寡占化(倒産・廃業、M&Aなどによる事業者数の減少・集約化)が進み、ボディーの生産単価も上がっている。新造ボディーの値上がりが激しいのか、最近は新車のシャーシに中古のボディーを架装して欲しいという依頼も来ている」と話す。(3月4日号)
【グラフ】小型・中型貨物車車体価格推移表