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令和7年年頭所感 公益社団法人全日本トラック協会 会長 坂本克己(2025/01/01)
令和7年を迎えるにあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。物流を支えるエッセンシャルワーカーであるドライバーの処遇改善や担い手確保は、「待ったなし」の極めて重要な課題です。このため、「物流革新元年」とした2024年に引き続き、本年が更なる飛躍の年となるよう、全力で取り組みます。
1.燃料高騰対策等の対応
燃料価格をはじめとする輸送コストの上昇分を適切に運賃に転嫁することが基本であり、トラック運送事業者が適正な運賃を収受できる環境を整備することが重要と考えます。このため、燃料サーチャージ制度を盛り込んだ標準的運賃を、トラック運送事業者のみならず、荷主などへも周知・浸透を図るとともに、政府と連携し、独占禁止法や下請法の取締りの強化、昨年11月に体制が拡充されたトラック・物流Gメンによる情報収集や荷主・元請事業者等の悪質な行為の是正指導の強化等により、燃料価格高騰分を含む適正運賃収受に向けた取引環境の整備に向け、しっかり取り組みを実施します。
2.多重下請構造の是正と適正取引の推進
多重下請構造の是正に向けては、全ト協では令和6年3月に、「多重下請構造のあり方に関する提言」を取りまとめました。さらに業界の多重下請構造や荷主との適正取引などを審議するため、常任委員会に「適正取引委員会」を設置し、同年11月に初会合を開きました。全ト協としても、実運送事業者が適正運賃・料金を収受し、物流の現場で働くドライバーに全産業平均並みの賃金をお支払いできるように、多重下請構造是正に向けた取り組みを強化していきます。
3.ドライバーの人材確保対策
人材確保対策の一つとして、政府は昨年3月、特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針を変更し、特定技能の対象分野に「自動車運送業」の追加を閣議決定し、特定技能の取得に必要となる特定技能1号評価試験を同12月以降実施するとの発表が国交省からされました。
自動車運送業分野で、深刻化する人手不足に対応するため、専門性や技能を生かした業務に即戦力として従事する外国人を受け入れることで、自動車運送業分野の存続・発展が期待されます。
令和6年度から5年間の受け入れ人数として、自動車運送業分野で最大2万4500人が見込まれ、ドライバー不足解消の一助となることが期待されています。
全ト協としては、外国人ドライバーの円滑な受け入れに向けた対応を行います。
4.「事業許可更新制」の導入を目指して
我々トラック運送事業者の願いは、エッセンシャルワーカーとして物流の現場で日々奮闘しておられるドライバーの皆様方に、夢や希望、誇りを胸に、「我々が日本の産業を支えている」との熱い思いをもちながら、日々仕事をして頂くことに他なりません。
しかしながら、これまでのようにトラック運送事業者同士が運賃・料金の安さで勝負していては、ドライバーの賃上げと労働環境改善には繋がらず、決してドライバーのためにはならないと考えています。
今こそ我々トラック運送事業者は、「物流品質」で勝負しなければなりません。適正競争を推進することで、ドライバーの皆様の地位向上と労働条件の改善や事業経営の効率化が図られ、それが安定的な物流の確保に繋がり、国民経済の健全な発展に寄与することとなるのです。
全ト協では、業界内の適正競争推進による業界の健全な発展の実現に向けて、次期通常国会において、議員立法による貨物自動車運送事業法の改正とそれを担保する特別措置法(新法)の成立を目指すことを考えております。
その具体的な内容としましては、事業許可の更新制等を追求していきたいと考えているところです。
会員事業者の皆様方のますますのご発展とご健勝、ならびにご多幸を心より祈念し、新年のご挨拶とさせて頂きます。