電話でのお問い合わせは072-882-6258
〒571-0079 大阪府門真市野里町31-15
「デジタル給与払い」広がるか(2025/02/02)
物流業界ではサカイ引越などが利用
厚生労働省は2023年4月、給与デジタル払いを解禁した。2024年8月、スマホ決済最大手のペイペイ(PayPay)が国内で初めてデジタル払いに対応する資金移動業者として登録し、同年11月から本格提供を始めた。物流業界ではサカイ引越センターがサービスの利用を開始している。
給与デジタル払いは、従業員のスマホ決済アプリに残高100万円を上限に給与が払い込まれる。
導入するには、雇用主と労働者代表との間で、給与デジタル払いについて労使協定を締結することが必要。給与デジタル払いを希望する従業員は勤務先へ同意書を申請する。
ペイペイアプリのトップ画面の「給与受取」のから申し込みし、発行されたペイペイ銀行の給与受取口座への入金用口座番号などを雇用主へ申請する。
雇用主は、従来の金融機関への支払い方法と同じように、従業員の給与受取口座に給与を振り込み、その口座から従業員のペイペイアプリに自動的にチャージされる。
雇用主も従業員もペイペイ銀行の法人口座を開設している場合、振込手数料無料で給与の振り込みができる。雇用主が利用している金融機関から従業員のペイペイ銀行口座へ振り込む際は手数料がかかる。ペイペイアプリで保有できる残高の上限は20万円。
サカイ引越センターは2024年11月5日、一部の日払い・週払いのアルバイトを対象に、ペイペイ給与受取の利用を開始した。2023年4月、資金移動業者の申請受付が開始された当初から情報収集を開始し、2024年8月にペイペイが資金移動業者の指定を受けたのと同時に本格的な準備を始めた。
同社広報課の担当者は、「引越繁忙期の3月~4月に大勢雇うアルバイトには若い世代が多く、中には日ごろから現金を持たずスマホでの買い物に慣れている人もいるため、デジタル払いに一定の需要があると予想し、そのニーズにいち早く対応することにした。
2024年問題にも直面する中、多様な選択肢を用意することで、多くの人に働き先として選んでもらうことを目指している。現在のところ希望者は一部にとどまっているが、今後、従業員の声を聞きながら対象従業員を増やしていきたい」と話していた。
千葉県の運送会社、㈱デイリートランスポートは、2025年1月15日支給分よりペイペイ給与受取の利用を開始した。同社管理部の担当者は、「毎月発生する必要経費をデジタルで支払うことも増えているため、導入により最初からデジタルでチャージすることができれば利便性が向上する。当社は24時間交代勤務で昼間寝ていて夜間に働く従業員も在籍し、給料日に即時ペイペイにチャージされれば、その従業員は時間外手数料を払って現金を引き出す必要がなくなる。
就労環境の一環としてデジタル給与に対応できる体制を整え、従業員の選択肢を増やしておきたい。導入を決定した10月の社内調査では、回答した従業員の約26%が『使用したい』もしくは『使用しても良い』と答えた」と話している。
他にも、「auペイ」を運営するKDDIや「楽天ペイ」の楽天グループが参入に向けて厚労省に申請している。
帝国データバンクが2024年10月に行った調査では、対象企業の約9割が「導入予定はない」と答え、「導入に前向き」と回答した企業は3・9%にとどまるという結果だった。(2月3日号)
【写真】PayPay給与受取の画面イメージ