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「社員の年収を1000万円に!」 引越会社・楽さす(2025/05/18)
楽さす㈱(日比野和俊社長、兵庫県神戸市)は8年前に創業。現在社員9人、他アルバイトで引越事業を展開する。日比野社長は、大手引越会社出身。飲食業をやりながら長年契約社員として働いていた。そして引越会社を辞め、しばらくしてから引越会社を立ち上げた。社名の「楽さす」には強い思いが込められている。
働いていた大手引越会社では、残業は毎月100時間、繫忙期は200時間にもなっていた。社長世代は耐えられたが、ゆとり世代で育った若い子は次々に辞めていっていた。「現場で働く社員に楽をさせたい」。そんな思いから社名は迷わず、「楽さす」に決まった。
楽さすでは、引越の現場に入れる人数を増やしている。単身世帯の引越では通常2人で行う。3人入れることは、引越会社ではしない。特に大手ではない。そこに3人あてている。
3人では1件あたりの引越で見ると、非効率のように見えるが、2人で1日3回転のところ3人で1日4回転行うことができ、逆に稼働率が上がり、売り上げ、利益も上がる。
また、引越では荷物の破損などトラブルはつきもの。在籍していた大手では何かトラブルが起こると必ず怒られる。荷物の破損で座学3時間とか、1つやるだけで1~2日の労力を使っていた。
これで精神的に参ってしまう。なので、社員の中には、荷物の破損を隠していた者もいたという。
その時の反省から、楽さすの従業員が荷物を破損させても一切怒らない。何か起こったらすぐにラインで報告してもらい、破損については保険で対応するようにしている。
日比野社長は、「会社が厳しすぎるから隠す行為が出てくる。人がやっていることなので破損はある。正直に謝るしかない。お客さんが納得できるようにしっかり対応している。カラーBOXでも保険を使う」と話す。
同社では、お客さんにもいっそう満足してもらうために、4年前から全てのお客さんにヒアリングシートで評価やお困りごとを聞いている。
お客さんの声から生まれたものの一つに保冷段ボールがある。お客さんは冷蔵庫の食品などを引越前に処分することがあるが、保冷段ボールがあれば、引越先で食品などを使うことができる。
これは段ボール会社と共同開発したオリジナルの商品。コストはかかるが、お客さんから別途料金は取っておらず、大変喜ばれている。
また、基本、「NOと言わない」のが同社のスタンスだ。引越繁忙期である3月の取材時、偶然にも、飛び込みで夫婦らしき人が「引越をしてくれるところがどこもない。助けてほしい」と同社を訪ねてきた。日比野社長は、「何とかします」と二つ返事で引き受けていた。
「朝、夜、横つながりで何とかなるものです」とサラッと答えていた。
同社では、会社組織において一つの大きな考え方がある。
社長、社員、アルバイトは上も下もないという考え方だ。「引越は人がなんぼの世界。アルバイトでも月1回来てくれるアルバイトの人がえらい。ありがたい。この人が来てくれるから助かり、営業にも行ける。皆、皆イーブンです」。
創業以来、社員の離職はなく、募集もかけたことはないという。
来年、段ボール会社をM&Aで買収する。引越作業ができなくなった従業員のための働き口を確保するためだ。
日比野社長は、「大元は『いい会社を作ろう』です。そのためにトライ&エラーをしまくっています。いいことだけを継続し、いい経営環境を作っています。目標は全社員手取り月50万円。将来は年収1000万円にしたい」と目を輝かせる。
【写真】日比野社長