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成長の陰に研修ハウス  サカイ引越センター(2025/12/14)


スタッフ泣かせの設計 技術磨き、稼働率向上に

 引越業界売上高12年連続ナンバー1のサカイ引越センターには、「研修ハウス」と呼ばれる施設がある。現場スタッフが引越技術を習得するための研修場所として使用されている。全国に4か所あるが、大阪府堺市の本社にある研修ハウスは2004年10月に約5000万円をかけて建てられた。複雑な構造のため、引越技術を習得するには最適な建物となっている。
 全国に支社ができ、社員数も大きく増えてきたことから技術の標準化を図る目的で建てられた。ここで研修することで、技術の習得とともに迅速な作業にもつなげている。他社が1日に1~2件の引越件数のところを2~3件と稼働率が高まり、これも同社の業績向上を支えている。
 研修ハウスは月に10日ほど使われ、新入社員が中心になる。新入社員は毎年約400人入るが、月1回、1年間、研修ハウスで研修を行う。
 研修ハウスには、様々な工夫が施されている。まずは、玄関前。段差が設けられていて家財を運びにくくなっている。玄関の扉を開けると、すぐ壁があり、大型家具の搬入に苦戦する構造になっている。大きな家具は少し斜めにするだけで壁に接触してしまう。
廊下は狭く作っている。一番の難所は階段だ。傾斜をきつくし、踏面(足を乗せる部分の奥行き)も20センチと狭い。手すりや照明器具もある。階段の中間地点は180度で曲がっているため、さらに運びにくくなっている。
 外からの家財の吊り上げも簡単にはいかない。ひさしは広く、家財を上げる敷地は狭く、窓枠には出っ張りがあり、引越スタッフ泣かせの設計となっている。
広報課の中西宣子主任は、「引越は2つとして同じ引越はありません。家が違い、家具も違い、マニュアル化できません。現場に来てからの勝負になります。
 研修ハウスで学ぶことで、引越技術の向上、家や家財に対する扱い方、安全に引越作業する環境の作り方を身につけることができ、新人の方も自信がつきます」と話している。
(12月1日号)

【写真】階段の中間地点は180度で曲がっている